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『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』

 さあ!昨日南米(Amazonと言いたい)に頼んだこの本、届きました!

 私、何を隠そう、ミステリーファンでございます。
小学生の頃には図書室のアルセーヌ・ルパンシリーズを読み尽くし、中学生ではアガサ・クリスティーを全巻集めて読むことに執念を燃やし、と基本海外のミステリーから始めたのでシャーロック・ホームズももちろん読んでおりました。

 でもホームズについてはNHKで放送していたグラナダTV作成の『シャーロック・ホームズの冒険』が一番印象に残っているかもしれません。ジェレミー・ブレッドの主演のやつ。声がヤマさん(『太陽にほえろ』の露口茂さんですね)というあのイメージが強烈です。この本で取り上げているのは短編、『青いザクロ石の冒険』"The Adventure of the Blue Carbuncle"です。グラナダTV版を放映したNHKの放送では、『青い紅玉』と訳されていた回です。この訳、というかそもそもcarbuncleについてもコラムで詳しく書かれていますよ。

 ちなみに私はカーバンクルと聞くと、額に赤い宝石がついた小動物の方を思い浮かべてしまいますが、そもそもは宝石そのものの名称、なのですね。

 今回のこの本は英文法をホームズで学んでしまおうというものです。読む場合には多読、精読とありますが、こちらはもちろん精読の方ですね。日本語訳、原文に文法事項のヒント、読み方の解説、解釈のポイント、そしてワンポイント文法講義、翻訳のポイントなど盛りだくさん入っています。

 まだ最初の章程度しか読んでいませんが、精読教材としてはかなり親切かつ丁寧な作りなのでは、と思います。「対訳・・・」という感じの本は以前からあり、私も目を通したことはありますが、本当に日英対訳と単語の説明がある感じだけでした。もちろん自習教材としては十分なのですが、今回の本は少し、いやかなり趣が違う感じがします。精読を極めて英文法の極意も探りながら同時にシャーロック・ホームズの冒険という作品自体も堪能してしゃぶりつくそうという意図を私は感じました。

 英文法は基本を覚えた、語彙はまだまだこれから増やしたい、ぐらいのレベルの英語力があれば、解説たっぷりなので十分楽しめる本でしょう。そして、あなたがシャーロック・ホームズ大好きならば、シャーロキアンと名乗るはおこがましい私程度のファンでもホームズの世界に耽溺できるでしょう。英語をかじったホームズファンの方々、是非手に取ってみて欲しいと思います。


 あと巻末にある「英語学習のお勧め参考書」もきっと中級以上の学習者に大変有用かと思われます。その中にある本のひとつがこちらです:

 こちらの本もまだまだ出版されたばかりです。コンセプトはかなり似たようなところがあって、どちらも「名作を精読することで英語力を上げよう」というものです。講義と書いてあるとおり、中身は講義と勉強会に参加する登場人物のディスカッションで話が進んでいく作りになっています。ゴリゴリの英文解釈本ではありますが、こちらは英文法がちょっと面白くなってきた中級者に一番お勧めしますが、上級者が読んでも自分の読みの甘さを痛感するし、初級者でもしっかり訳文が付いているので読み物としてはきっと楽しめるでしょう。

 著者の越前敏弥氏は『ダ・ヴィンチコード』を訳された翻訳家で、『日本人なら必ず誤訳する英文』という本も書かれています。必ず誤訳?おらおら上等だ、と本を読んで見事撃沈したのは私でございます……それほどに文芸書の翻訳とは難しいものなのですね。普段は多読多聴で大意を取ることに腐心しておりますが、精読あっての多読、という側面もある、と痛感している次第です。

 先日お勧めした『英語のハノン』もそうですが、第二言語として英語を学ぶ場合はやはり英文法を押さえるのが最短最速の道なのです。これは私も自信を持って言えます。近日中に文法の重要性と有効性について語るセミナーを予定しているので告知をお待ちくださいね!

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