見出し画像

ウイルスのようにばら撒かれる偽ニュース、対策はボットで? 米国の取り組み

昨年の米国大統領選挙でドナルド・トランプの勝利に一役買ったと言われ、俄に注目を集める偽ニュース(Fake News)。脱真実(Post-Truth)という言葉も生まれ、昨年の流行語となりました。

ウィキリークスから連想され米ワシントン郊外の何の変哲もないピザ屋が民主党支持の同性愛者が集まる秘密の拠点だと噂になり集団抗議に発展した「ピザゲート事件」(http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-38179131)や、パキスタンの国防省が偽ニュースを真に受け、ツイッターでイスラエルへの核攻撃を示唆するという笑えない事件(http://www.asahi.com/articles/ASJDW6223JDWUHBI034.html)もありました。

こうした偽ニュースに対抗するにはどうしたら良いのでしょうか? 各々のメディア・リテラシーを磨くには限界があります。

その一つのソリューションとして「Storyful」というサービスをアイルランド発祥で現在はニューヨークに本拠を置くベンチャーが提供しているとBusinessweekが伝えています。

Storyful
https://storyful.com/

A Digital Fact-Checker Fights Fake Newshttps://www.bloomberg.com/news/articles/2017-01-12/a-digital-fact-checker-fights-fake-news

これはオンラインで公開されている映像をボットが収集、それを有識者の手でチェックし、真偽をタグ付け。それをGoogle Chromeの拡張機能として提供し、ユーザーは映像を見る前に、一覧画面から、その映像が正しいものか、偽物なのかを知ることができるというもの。いま世界で40人以上のジャーナリストがこの作業に参加しているとのこと。

正しい動画である場合

偽物の動画である場合

偽ニュースを拡散した場としてやり玉に挙げられているフェイスブックでは、クラウドソーシングを使ってユーザーが偽ニュースを判断するという方式を採用していますが、Storyfulはプロの手によって判断しようというものです。トランプ大統領はCNNを「偽ニュースだ」と批判しましたが、CNNのようなプロのジャーナリストが参加して真偽を判断しているようです。この方法では、判断する数に限りが出そうですが、政治や国際関係など、深い専門的な知識が必要とされるジャンルでは有用にも思えます。

Storyfulは現在はニューズ・コーポレーション傘下にあり、本業はソーシャルメディアでバイラルするような動画のメディアへの提供。しかし、最初はアラブの春の際のソーシャルメディアの偽りの情報を検知することが会社の始まりだったようで、今回こうした取り組みをスタートした模様。

偽ニュースは拡散性が高く、ウイルスのように広がりますが、メディアの根幹を揺るがし、社会に負のインパクトを与える存在です。日本でも同様の取り組みが出てくるでしょうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?