エピソード1-2 東新宿

「19時半に東新宿ね」と指定され訪れた夜。マッチングアプリで1度会ったに過ぎない女性からの誘い。彼女の言う“友達の家での宅飲み”とは一体どんな物か。

通勤ルートの都合上普段地下鉄を使わない私。駅を出るとスクエニのオフィスとタワマンが見える。

程なくして彼女と合流する。2人の男女も一緒だ。どうやらこの3人は知り合い同士らしい。宅飲みなのでタワマンに併設されたスーパーで食料と酒を調達する。無難に缶チューハイと惣菜をいくつか割り勘で購入。

買い物を終え家主の元へ。彼女の先導で着いた場所はタワマンのエントランス。買い物をしたスーパーの併設されているタワマンそのものである。

画像1

画像の通りのコレである。新宿にいれば必ず目にすると言っても過言ではない目立つタワマンだ。正気かと思うだろうがそれはこちらのセリフである。しかし彼女がここだと言うのだから覆しようのない事実だ。どうしようもない。

彼女の連れの1人もここを訪ねるのは初めてらしく、呆気に取られた様子をしていた。会って10数分であるが、彼と全く同じ気持ちでいることに親近感を覚えた。

私の動揺を他所に彼女は慣れた様子でインターホンを押し、家主に到着を伝え館内へ。我々も後に続く。

堪らず私は彼女に尋ねる。「この家主は何の仕事をしているのか」と。彼女は「自営業だよ」と答える。

不思議な答えだ。「何を食べているの」という質問に「朝食」と答えているも同義ではないか。答えではあるが応えていない。そう感じるのは私が神経質であるからだろうか?

疑念はさて置き20階だか30階だかの部屋で飲み会が始まった。家主は30代前半程の夫婦。別室には幼い1人息子がいるらしく騒ぎ過ぎない様にとのことだ。

初対面同士、取り立てて記す程でもない談話をしながら飲み食い。1時間程経ち家主が「ボードゲームをしよう」と企画する。

ルール把握に時間のかかる重ゲーは不得意だが、軽く楽しめるボドゲは好きだ。私はNEUとインサイダーと愚かな牛が好きだ。

話を戻そう。今回遊んだのははぁって言うゲーム。演技力と洞察力が求められる簡単なゲームだ。

3ゲーム遊んでこの飲み会はお開きに。楽しいひと時は直ぐに終わる。いや嘘まあまあ帰りたかった。オフ会でもないのに初対面と2時間コースは疲れる。

後日、彼女に呼び出されたのは個室付きのラーメン店竹虎。個室で2人きりの食事。何かが起こることは容易に予想できる。

画像2

「この前は楽しかった」と切り出す私。続いて「あの家主はどうしてあんなに凄い暮らしが出来るのか」と尋ねる。

「実はその事について話そうと思ってた」と彼女。「普段の仕事とは別に副業をやっていて…」

来たッ!来たッ来たッ!遂に私の元に勧誘の魔の手!私は今彼女の正体の核心に迫りつつある!あぁ知りたい!彼女への好奇心が止まらない!

「へぇ、どんな副業?」たまらず質問。

「えっと、アクアパッツァみたいな仕事なの〜(笑)」

「それはどういう事?」ここで直球に「は?」と聞かなかった私は手作りの賞状を貰うべきだろう。答えが意味不明すぎるが落ち着いて受け答えをした私は賢さと自制心を併せ持っていると言える。

「アクアパッツァって色んな食材が入ってるでしょ?つまり色んなことをやってるの!」

「なるほど〜」とでも答えると思ったか?(答えたが)例えがヘタクソなんだよヴォケお前の脳味噌には雑炊が詰まってるのか?

ともあれ非常に興味深い。これを逃して何とする。

彼女に気になるという旨を伝え、後日詳細を教えてくれることに。非日常への足掛かりを得た。


次回、彼女の正体が明かされる。

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