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SHEINのバッグがユニクロのバッグに似ている!

SHEINという中国発の企業で販売されているバッグが、ユニクロのバッグに酷似しているとして、ユニクロは販売停止と1億6000万円の損害賠償を求めて、SHEINブランドを展開する3社を提訴しました。

SHEINは、ネット販売を活発に行うファッションブランドであり、原宿にも店舗があります。SHEINのこの三日月型バッグは、ユニクロの「ラウンドミニショルダーバッグ」に似ています。

以下のニュースサイトで両社のバッグが紹介されています。見比べてみましょう。

https://news.ntv.co.jp/category/economy/7ad801ddce574177b8f5f188b700a02e

SHEINのこのタイプのバッグはユニクロの半額以下のものもあります。
「ユニクロのバッグと間違えそう」「ユニクロのパクリ?」と発言している消費者もいます。

報道では「不正競争防止違反」と言われています。では不正競争防止法のどの規定に該当するのでしょうか?

「デッドコピー」が考えられます。
デッドコピーとは「他人の商品の形態を模倣した商品」を販売等することです。これは「不正競争」に該当し、損害賠償や差止請求の対象になります。
 
しかし、これには一つ問題があります。
 
デッドコピーによる販売差止めや損害賠償請求は、「日本で最初に販売した日から3年」に限られています。報道によると、SHEINのバッグの日本での発売は2020年12月であり、ユニクロが提訴したのは昨年12月28日です。3年を経過しているため、今後、販売停止や差止請求はできません。
 
1億6000万円というのはこれまでの販売に対する損害賠償であるか、あるいはデッドコピーではなく、「周知表示と同一、類似+混同」「著名表示と同一、類似」(不正競争防止法2条1項1、2号)という別の条文を根拠にして提訴した可能性もあります。
 
「不正競争防止法違反」とのみ報道されているので、実際のところ「デッドコピー」か「周知(著名)表示と同一、類似」のいずれを根拠としたのかはわからず、後者の可能性も高いと予想します。
 
周知表示、著名表示であることを根拠としても、ユニクロの三日月型バッグの周知、著名性が問題です。
 
私の意見としては、そもそも三日月型はありふれた形状であり、それほどユニークであるとは思えません。ありふれた形態は特定の者に独占させるべきではないため、保護されません。
 
今後の裁判の行方を見守っていきたいです。
 
参考サイト
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1561413.html
https://www.asahi.com/articles/ASS1K53H2S1KULFA00D.html

弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
「もう知らないではすまされない著作権」等、著書多数