見出し画像

ファミマと日清のコラボ投稿に問題

コンビニ大手のファミリーマートが日清とコラボする告知をXに投稿しましたが、両者が握手しているイラストに、Adobe Stockのウォーターマーク(透かし)が入っていると、SNS上で物議を醸しています。

つまり、ライセンスを受けずにこの画像を使用したか、あるいはライセンスは受けたが見本の画像を使ったという疑惑が持たれています。
これを「カンプライセンス」といい、ウォーターマーク入りの画像を自由に利用することはできません。

問題の画像です。


一方で、Adobe Stockの画像は以下のものと思われます。これと比べると、ファミマ画像は、握手の上の三本線が雑に加工されていることもわかります。

「Stock アセット」といわれるAdobe Stockの素材を使用するには料金を支払ってライセンスを受けることが必要であり、ライセンスを得ていたとしても、これを一般公開することは規約違反になります。

「Adobe Stock追加条件」の利用規約「5.2」条には、「Stockアセットを一般に公開することは許可されない」との条項があります。
しかし、ファミマはすぐさま釈明の投稿を行い、「著作権侵害には該当しないことを確認しております」との声明を出しました。

https://wwwimages2.adobe.com/content/dam/cc/jp/legal/servicetou/Stock-Additional-Terms_ja_JP_20230915.pdf

利用規約は読まないで加入する人が多い、という話を聞きます。細かく規定されており、読むのが面倒であるから「同意する」をクリックすることは多いです。しかし知財について重要事項が記載されているので、その部分だけでも読むことは必要です。

今回の事件のようにネット民は、「うっすらとウォーターマークが入っているのが見える」などの細かい点にも注意し、それをSNS上ですぐに話題にします。

コラボの声明も簡単にXに投稿できる時代ですが、それだけに画像の微細な点まで拡大して誰でも見ることができるので、楽だけど厳しい時代です。

参考サイト:
https://news.yahoo.co.jp/articles/edde5eb81cbacfa8c3ab34e62b5417edac22e203
https://www.bengo4.com/c_23/n_17725/images/

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2407/05/news169.html

弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
翻訳家、執筆家、弁理士(奥田国際特許事務所)
株式会社インターブックス顧問、バベル翻訳学校講師
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)英検1級、専門は特許翻訳。アメーバブログ「英語の極意」連載、ChatGPTやDeepLを使った英語の学習法の指導なども行っている。『はじめての特許出願ガイド』(共著、中央経済社)、『特許翻訳のテクニック』(中央経済社)等、著書多数。