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「直接対話なくして和平は考えにくい」~プーチン大統領、現情勢での考え示す~ウクライナ和平の新たな局面:ゼレンスキーとオルバンの挑戦 ③


【画像① 7月3~4日にかけてカザフスタン共和国の首都アスタナで開催された上海協力機構(SCO)拡大サミットに際し、ロシアのプーチン大統領は海外取材団の求めに応じて記者会見を行った。そこでは、ウクライナ戦争の和平調停やトランプ元大統領による「来年1月20日までに戦争を終わらせる」という提案(公約)について前向きの姿勢を示した。】




この間、ウクライナ戦争の終息に向けた動きが、EU内(ハンガリー)、BRICS主要国(インド)から生じ、ゼレンスキー大統領周辺の以前とは異なる「停戦条件の譲歩」を示唆するような言動が出てきて情勢に変化の兆しが出てきている。本noteは、最初にゼレンスキー大統領の姿勢の変化、次にハンガリー・オルバン首相の行動と影響を海外報道を材料に取り上げてきたが、これらに関連してプーチン大統領がどのように反応しているかについて、今回は見ていきたい。



プーチン政権の意思を読み取るには、ロシアを代表する公的メディアであるリア・ノーボスチ通信やTASS通信の分析記事、論評をチェックすることが一番効率的である。


本noteでチェックしたところ、やはりプーチン大統領のコメント紹介という形でリア・ノーボスチがウクライナ和平の方向についての考え方を記事にしていた。7月4日付の「直接対話なくしてウクライナ和平は考えにくい~プーチン氏、語る」(
"Этот вопрос — ключевой". Путин пролил свет на переговоры о мире с
Украиной )と題する記事だ。


この記事の中では、プーチン氏のウクライナとの和平の方向についての、現状での認識、米大統領選の中でのトランプ氏優勢の情勢に関わる同氏のウクライナ戦争終結に関わる発言に対する考え、米国の中距離核戦力制限条約脱退に伴う情勢の認識、「多極世界」への移行に関わる見方などについて、広く取り上げている。現段階でのプーチン政権による外交の基本姿勢を示すもので、重要だ。


以下にこの記事の概訳を示し、考察してみよう。



【画像② 上海協力機構拡大サミットには、ロシア、中国、カザフスタン、インド、モンゴルなど12カ国から首脳が参加した。ベラルーシのルカシェンコ大統領は、この会議で同機構への正式参加を宣言した。アスタナでのSCO拡大サミット参加首脳の記念写真(7月4日)。】

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