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プーチン大統領、最新の戦術・戦略兵器開発と配備を強調、西側の”挑発”へ警告~年次教書演説


【画像① 2月29日、年次教書演説を行うプーチン大統領。この3日前にフランスのマクロン大統領が行った「ウクライナへの地上部隊派遣の可能性」についての言及に対して強く警告する内容が突出したものとなった。】



◆プーチン大統領が大統領選挙を2週間後に控え、年次教書演説(施政方針演説)


今月、大統領選挙が半ばに実施されるロシアのプーチン大統領が年度の施政基本方針を示す年次教書演説を行った。西側報道は「ウクライナに西側諸国が部隊派遣を行わないよう警告した」「核戦力を誇示した」などとしているが、筆者が演説そのものを聞いた限りでは、それ以上のことが述べられている。


まず、典型的な報道は以下のようなものだ。



<西側諸国のウクライナ紛争への直接的な介入は「悲劇的な結果につながる」>


「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2月29日の年次教書演説で、ウクライナに地上部隊を派遣しないよう西側諸国に警告した。そのような決断をすれば、『介入する者にとって悲劇的な』結果につながると述べた。…プーチン大統領は毎年恒例の教書演説で、西側諸国がロシアを軍拡競争に引きずり込もうとしていると非難した」


「また、スウェーデンとフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に加盟したいま、ロシアは西側との国境防衛を強化する必要があるとも述べた。…プーチン氏は、西側諸国がウクライナでの紛争を『誘発』し、『ロシアが欧州を攻撃するつもりのようだと、恥ずかしげもなくうそをつき続けている』とした」


(参考)「プーチン氏、ウクライナ派兵は「悲劇的結末」招くと西側に警告 年次教書演説」2024/3/1 BBC NEWS JAPAN

https://www.bbc.com/japanese/articles/cd10l2d4j14o.amp


(参考動画)「プーチン大統領が年次教書演説 ロシア軍『優勢』強調 来月の大統領選向けアピール 核戦力誇示で欧米けん制」2024/3/1 TBS NEWS DIG

https://youtu.be/-r7P8BRaV2M?si=vwpqfD6fMXCKzQtY




【画像② フランスのマクロン大統領は、2月26日にパリで開催したウクライナ支援会議で「ウクライナでロシアを倒すことは欧州の安全保障にとって不可欠だ」とし、西側の地上部隊をウクライナに派遣する可能性について、「合意はないが、排除すべきではない」と述べ、波紋を呼んだ。プーチン大統領の年次教書演説での「警告」は、これへの反応といえるが、米国をはじめとするNATO各国は大慌てで「ウクライナへの地上部隊派遣はない」とこれを否定している。】



◆最新兵器の配備を強調、西側の軍事的圧力に一歩も引かぬ姿勢を明瞭に


プーチン氏の年次教書演説の全体像を伝える報道は、日本ではほぼない。全文を翻訳して伝えるという本当に労をいとわぬ努力で内容をSNSで発信している人もいるが、全部を読むというのはよほど関心がある人でないとなかなか困難であろ。


そこで、以下にリサーチャーの協力を得て、リア・ノーボスチ通信に掲載された演説全文から要点まとめを作成した。もう項目を見るだけで、「西側の圧力に屈せぬ国防力を堅持」ということが中心テーマとなったことが一目瞭然となろう。以下、掲載する。



<プーチン大統領 年次教書演説~要点まとめ>


2024年2月29日に行われたプーチン大統領の年次教書演説の要点は以下の通り。



〇超音速大陸間滑空体「アヴァンガルド」、レーザー兵器システム「ペレスヴェート」がロシア軍に配備済み。




【画像③ レーザー兵器「ペレスヴェート」  2018年に実用化されたレーザー光線兵器で、2022年からウクライナ侵攻作戦にも投入されている。ドローン撃墜や軍事偵察衛星に対する照射で偵察カメラを無力化するなどの能力を有する。まだ破壊力は限定的で小型ドローン以上の目標に対する有効性は認められておらず、破壊目的の有効照射距離は5kmだという。偵察衛星の無力化を目途とする照射での距離は1500kmとされる。】


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