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”台本読み”岸田首相に2年半行われぬ国会「党首討論」復活を突きつけた日本維新の会


【画像① 国会審議での答弁で”キレ”がなく、国民の共感をなかなか得られない岸田文雄首相…「党首討論」開催要求は、吉か凶か?】


◆岸田文雄首相「17兆円経済対策」=「4万円減税」「7万円給付」でも、支持率低下止まらず~「年内解散吹っ飛ぶ」


岸田文雄首相が所信表明演説で「17兆円規模の経済対策」を前面に押し立て、その中の目玉として所得税などを年1人あたり4万円減税し非課税世帯に7万円給付する策を打ち出した。低迷する内閣支持率を引き上げ、勢いを付ける中で衆院の解散・総選挙も視野に入れての起死回生策だったと思われるが、どうも反応は良くない。


共同通信が先に月例世論調査の11月分を発表したが、その中で岸田政権が打ち出した「減税や給付金支給を評価しますか、しませんか」との問に対して「評価する」32・0%、「評価しない」62・5%という結果が出ている。ちなみに、この調査での内閣支持率については、「支持する」28・3%、「支持しない」56・7%で、これはそれぞれ10月結果が32・3%、52・5%で支持率低下がいっこうに止まらないことを示している。


「年内の解散はこれで吹っ飛んだ」と、永田町では囁かれているが、実は現在開会されている臨時国会は、与党側が会期内に衆院解散が打たれると想定していたことで、審議にかけて採決をめざす政府提出法案がわずか10本程度(通例は50~70本くらい出ることがある)で、しかも”与野党対決法案”と見なされるような法案は見当たらない。12月13日まで予定されている会期では十分処理できるものだが、この余裕を見て日本維新の会がふらふらしている岸田政権に対して、挑戦状を叩きつける動きを起こした。



【画像② 「所得税1人あたり4万円減税」「低所得世帯に7万円給付」という慎重な岸田首相としては”清水の舞台から飛び降りる”くらい思い切った経済対策を打ち出しても、逆に「また増税するんだろ?」と疑念を持たれてしまう国民の不信感を払拭できないジレンマに陥っている。】



◆2年半開催されぬ「党首討論」復活を自民党に申し入れた維新の会


日本維新の会の遠藤敬国対委員長が臨時国会の開会早々、自民党国対族の重鎮で衆院国家基本政策委員会のメンバーである浜田靖一前防衛相と面談。「12月13日会期末までに岸田政権下では初の党首討論開催をするよう調整を」と要求したのだ。


そして、自民党側がこれを実現させないなら、衆参両院の国家基本政策委員会は”無用の長物”なので維新としては廃止を求めていくとまで述べた。維新の会の関係者は、次のように述べている。


「今国会は、解散を視野に入れていた官邸の意向もあって、”対決法案”も出されず法案全体の数も少ない。そのうえ、解散総選挙自体が会期中に打たれそうもない情勢となり、不思議な”余裕”が生まれている状況だ。ならば、こんな時こそ、菅義偉政権以来、もう2年半も開かれていない党首討論をやって、政策論争を国民にじっくり見てもらうべきではないか。岸田首相が打ち出した経済政策だって、堂々と議論すればよい。こんなときに開かないで、いつ開くんだ」



【画像③ 自民党側に「臨時国会中の党首討論開催」を強硬に申し入れた日本維新の会・遠藤敬国対委員長。】



◆英国議会の「クエスチョン・タイム」をモデルとした衆参国家基本政策委員会の「党首討論」


もう2年半も開かれない国会における「党首討論」は、英国議会の「クエスチョン・タイム」という時の与野党の党首のフリー討論型の審議をモデルに、2001年7月に成立した国会審議活性化法によって導入されたものだ。同法が規定した衆参両院に設置する国家基本政策委員会を舞台に、首相vs各党党首という形の討論が行われるというものだ。


初の討論は、成立した年の11月、当時の小渕恵三首相と民主党代表だった鳩山由紀夫氏ら3野党党首が参加して行われた。民主党政権時代の終わり頃である2012年11月には、時の野田佳彦首相が自民党の安倍晋三総裁との討論の中で衆院解散を電撃的に表明し、討論相手の安倍氏はもちろん世間を驚愕させる場となったことも歴史に刻まれている。


ところが、2021年6月、菅政権で行われたのを最後に、岸田政権下ではその存在すら忘れられたのではないかと思えるほど、開催が問題にもならなかった。先の維新関係者が話す。


「バタバタと内外情勢が動いたことに政権が振り回され、『それどころではない』というより、党首討論の制度的存在など完全に忘れていたふうであった。もちろん、与党の国対族の中には『マズい』という気持ちを持つ人もいたはずだが、あえて誰も口にしなかった。何しろ、岸田首相があのていだから…」



【画像④ 民主党政権の野田佳彦首相は、安倍晋三自民党総裁との「党首討論」で衆院解散を電撃的に口にし、世間を驚愕させた。2012年11月。】


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