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身元特定に時間がかかったワケ~連続企業爆破事件の重要容疑者「桐島聡」に死後もふりまわされた警察


【画像① 2月27日、「容疑者死亡のまま書類送検」となり、ようやく「手配解除」となった連続企業爆破事件被疑者の1人、桐島聡容疑者(70)の氏名手配告知に「手配解除」が貼りだされた。】



◆「容疑者らしき男出現」から1カ月以上、身元特定できず~2月27日にようやく


1974~75年(昭和49~50年)にかけて起きた連続企業爆破事件に関与したとして指名手配されていた過激派「東アジア反日武装戦線」のメンバー、桐島聡(70)を名乗った男が出没したのは昨年末だったが、1月29日に入院先で病死。その間、病床で事情聴取したり、遠縁の親戚から提供された資料によるDNA鑑定などが行われたりしたが、身元確認が遅れていた。そして、2月27日になってようやく「容疑者死亡のまま書類送検」という運びとなった。


「桐島聡」容疑者については、既に火葬も済まされていたが、遺骨の引き取り手はないという。


「神奈川県警は…「東アジア反日武装戦線」メンバー、桐島聡容疑者(70)を名乗った男=1月29日に病死=を、身元不明遺体として同県鎌倉市に引き渡した。市によると、遺体は同県逗子市で火葬された」


「引き取り手がない場合は鎌倉市が約5年間遺骨を保管する。男は約40年前から『内田洋』の名前で同県藤沢市の工務店に勤務していた」


(参考)「『桐島聡』と名乗る男を身元不明遺体として火葬 遺骨は引き取り手なくても5年間保管」2024/2/7 産経新聞

https://www.sankei.com/article/20240207-F5SUAXZHPNOTXNZQCPR4LGUHIM/


亡くなった男性が「桐島聡」本人かどうか、確認のために警視庁捜査員は桐島容疑者の出身地である広島県に赴いて親族、親戚筋をまわり、遠い親戚の協力でDNA試料を採取。これに基づいて「内田洋」氏のDNA鑑定を行った結果、2月2日に「親戚関係として矛盾なし」との鑑定となったという。




【画像② 10年前、なじみのスナックで撮影されたという「内田洋」こと桐島聡容疑者。半世紀に及ぶ逃亡隠遁生活をやり切った。】



「1970年代に起きた連続企業爆破事件のうち5つの事件に関わったとして、警視庁は『東アジア反日武装戦線』のメンバー、桐島聡容疑者(70)を(2月)27日、容疑者死亡のまま爆発物取締罰則違反と殺人未遂の疑いで書類送検しました」


「過激派の『東アジア反日武装戦線』が起こした連続企業爆破事件のうち、昭和50年(1975年)4月に東京 銀座にあった『韓国産業経済研究所』のビルの爆破事件に関わったとして全国に指名手配されていた桐島聡容疑者を名乗る人物は、先月29日、入院していた神奈川県内の病院で死亡しました。…この人物について、警視庁が本人から聞き取った内容の分析や親族とのDNA鑑定を行った結果、容疑者本人と特定しました」


「捜査関係者によりますと、病院での捜査員の聞き取りに対し、指名手配された事件については関与を否定する一方、建設会社の『間組』を狙った爆破事件への関わりをほのめかしていたということです。…警視庁は、桐島容疑者が『韓国産業経済研究所』のビルの爆破事件と、『間組』を狙った4つの爆破事件に関わったとして、27日容疑者死亡のまま殺人未遂と爆発物取締罰則違反の疑いで書類送検しました」


(参考)「桐島容疑者死亡のまま書類送検 爆発物取締罰則違反など 警視庁」2024/2/27 NHK NEWS WEB

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240227/k10014372061000.html


男は「内田洋」の名前で湘南鎌倉総合病院に入院。昨年12月25日に病院職員に対し、「自分は連続企業爆破事件に関与した桐島聡だ」と述べて警察への連絡を自ら依頼した。そして、赴いた警視庁公安部の捜査員の聴取に対して、事件以降の経緯と家族関係など容疑者本人でなければ知り得ない事実の供述があると判断され、「この男は桐島聡容疑者本人だ」との心証を得たという。


聞き取りとDNA鑑定で容疑者本人と特定、ということなのだが、本人から病院を通じての警察への連絡後、1カ月以上も容疑者と判断するのに時間がかかったことについて、疑問の声が上がっている。




【画像③ 1974年8月30日、東京都千代田区丸の内で発生した三菱重工ビル爆破テロの現場。ビル前路上に駐車中の乗用車が潰れるほどの威力の爆薬が使われている。】



◆「なぜこんなに時間がかかるのか」と都公安委員、都議会議員から相次ぐ問い合わせ


一方、首都を舞台にした歴史に残る未解決の大型テロ事件ということで、その決着に関心を寄せる警視庁の上級機関にあたる東京都公安委員会や都議会警察・消防委員会に所属する都議会議員から「なぜ身元特定にここまで時間がかかるのか」と、警視庁への問い合わせが相次いでいるという。そして、「重要事件といいながら、この半世紀の間、どんな捜査をしていたんだ?」と、警察の捜査への疑念も出始めているという。こうした声に、警視庁側はひたすら、こんな言い訳をしている。



「時間が経ちすぎ、昔の試料を集めるのが大変だ」



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