【読書】罪人の選択
貴志 祐介といえば,私が読んだ中で一番怖い本「黒い家」の作者。この本がどれくらい怖いかというと,ページをめくるのが怖いのだ。本当に。夜中読んでいると自分の後ろから切り付けられそうになるくらい。(残念なのがこの黒い家が映画化され,大竹しのぶという事で期待して見に行ったのだが,見るに堪えない内容だった…)
で,この「罪人の選択」は短編集。最初の一発目が思いっきりSFで読むのをやめようか…と思った。私は本は好きだが多分SFは受け付けないのだろう。ただし筒井康隆的なSFは大好き(あれはSFというのか??)。
で,表題の「罪人の選択」に関しては,時代はまたいでいるがSFという事ではなく,なかなか面白かった。自分が戦争に行っている間に,自分の嫁の面倒を見て助けてくれた友人が自分の嫁と出来ていた。ただ「戦死した」という連絡があった後なので仕方ない面がある。といっても素直に,仕方ない…で済ますには自分の気持ちが治まらない。用意したのは,どぶろくと缶詰。そのどちらかには,即死する量の青酸カリが入っている。どちらかを選んで口にせよ…という。1/2の確率で助かったら水に流すと。これくらいしないと自分もあなたも許せないと。
同時進行で15年後に同じようなシーンが描かれる。その戦後に争っていた二人の子孫が同じような状況で向き合っている。今度は男が女をだましてその騙された方が自殺,その姉が15年前に作られた缶詰とどぶろくを持ち出して,やはりどちらかを口にせよという。全く同じ状況なのだが,後の方は大きなアドバンテージが。そこに白骨化した死体が転がっているのだ。それは15年前にどちらかを飲んで死んでしまった死体だと聞かされる。
その死体を見ていると,大きなヒントが。ああこっちに毒が入っていたのか。だったら今度はその反対を飲めば良い。しかしそれに気づいたことがばれれば,有無を言わさず殺されるかもしれない…。何とかその場を平然とやり過ごしバレることなく前とは違うものを口にしたのだが…。
この話は面白かったが,後のは読まなかった(笑)
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?