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【読書】人間に向いてない

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【読書】人間に向いてない  黒澤いづみ

初めて読む作者。図書館で借りる際に、Amazonのレビューを見たら、宮部みゆきが絶賛!と買いてあったので躊躇なく借りたのだが…。

さすがに最初の入りは驚いた。
引きこもりの子供がある日突然、昆虫とか犬とか植物に変体してしまうわけだ(笑)。親が子供の様子を見に行ったら,部屋に子供がいなくて,得体のしれないクモのような生き物とかに変態しているという。これが日本中で流行り出す。

主人公の母親が,おぞましい姿になった息子とどのように過ごすかを考えるのだが,法律ではその時点で「死」と判定され人権も何もなくなる。父親は全く興味が無くなり「捨ててこい」的な対応。

近所に,その変異した家族の集まりがあると聞き,参加したら色々な情報は入ってくるのだが,派閥争いや金銭的な不信感も。ただ同時に入会した母親とは仲良くなった。その娘は,犬のような物に変態している。顔が娘のままの犬なのだ。犬とクモを連れて二人で色々情報交換するのだが,ある日突然犬の娘が事故で死んでしまい,せっかく仲良くなった奥さんは遠くに引っ越してしまう。

何とか家族でもう一度うまくやれないか…と動くのだが,父親は実家の母親にも知恵をつけて何とかクモ息子を殺そう・捨ててこようとするので,同居をあきらめて自分の実家に帰る…。

こんな感じで,虫になった息子を取り巻く,家族・親,親戚,世間,社会の動きの葛藤を描いてあり,それはそれで面白い。ドロドロの人間関係,利害だけの付き合い,結局は他人の夫婦の行く末,子供の教育に関する葛藤…と盛り上がるのだが…。

ネタバレなので書かないでおくが,あっけなく終わってしまう。おいおい…という感じ。せっかくの奇想天外のフィクションなわけだから,最後も華々しく散って欲しかった。消化不良。

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