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【卒展2024 Making Process】#02 メインビジュアル
統合デザイン学科卒業制作展2024への来場ありがとうございました。
卒業制作展の振り返りを8回にわたってお送りします。
第二弾はメインビジュアルの制作です。
1. これまでの卒展を振り返る
統合デザイン学科の卒業制作展は2024年で第7回目を迎えました。
二期生の卒業制作展から広報、図録を含めたビジュアル部が発足し、今に至るまで学生が自主的に運営を進めてきました。
過去3年間の卒業制作展のテーマを振り返ると、2021年「メタモルフォーゼ」、2022年「好奇心」、2023年「ハート」と大学4年間での姿を現すものが採用されてきました。
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#01で書いたように、統合デザイン学科の卒業制作展はある程度成熟しきり、逆に言えばはじめて卒業制作展に出会ったときの感動やお祭り感は失われているようにも思えました。
過去の先輩方が積み上げてきたものを引き継ぎつつも、わたしたちの代だからこそできること、卒展当日が楽しみになるような目新しさを大切にしたいと思いました。
そこで、統合デザイン学科にしかないものを再考することにしました。
2. 統合デザインらしさとは何か?
4年間で成長した姿を示すだけでなく、他の大学にはない統合の強みをテーマを通して表せられないか話し合いました。
その中で、学んできた視点や思想が統合デザインらしさを表すのではないかという意見が上がりました。
授業を受けていると、単に技術の向上を目的にしているのではなく、良し悪しを判断する思想を学んでいるのだと実感します。
異なる所属プロジェクトの学生同士で話していても、共通した美意識を感じることが多く、紐解いてみると1, 2年生の授業で学んだことが反映されていることに気づきました。
ひとつの事象を独立して見るのではなく、周囲につながりを見出したり、
統合デザイン学科のウェブサイトにこんな一文があります。
統合されたデザインとは、たとえば「最高に美味しいコーヒーを飲みたい」という想いを実現するには、豆の挽き方や淹れ方だけでなく、持ちやすく口当たりの良いカップやリラックスできる椅子や周りの環境、聞こえる音楽などすべてが適切にデザインされてはじめて美味しく感じられるように、一つのものだけを整えるのではなく、身体の延長としてのものや空間、その集合体としての環境、それらがすべて途切れることなく一貫性を持ってデザインされる必要があります。
すなわち統合デザイン学科とは、その名の通りすべてのものに関係性を生み出し、統合してデザインすることであるといえます。
皿をひとつデザインするときでも、置かれたときの状況、空間、対象者、使い方などあらゆることを想定する。そうすることでそのとき注目されるデザインに終わらず、人や社会に根ざした強度のあるデザインになると思います。
統合デザイン学科で学ぶというのは、バラバラだった事象に繋がりや意味を見出せるようになること。
コーヒーを見て周囲の状況が考えるように、そうした観察する工程を独立した無数の点に関係性を見出し、つながりのある線と認識したり、より大きな面として捉える行為に喩えられるといえるのではないかと考えました。
そこで今年の卒業制作展のビジュアルテーマを「点・線・面」とし、統合デザイン学科らしさを表すことに決めました。
3. 発想する
「無数の独立した点だったものが線として認識され、それらがいつしか面となる」という言葉から、ビジュアルのイメージを広げます。
動物の群れや文字の並びなど「点・線・面」と変化する例を探したり、水滴の飛沫を扱ってみたり。
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今年はアートディレクター8人で共同作業を行なっていたため、「点・線・面」の認識を揃えることが非常に重要でした。
展開物はそれぞれのアートディレクターが部門ごとにわかれ、新たに集めたメンバーと作業するため、指示出しをする根本のコンセプトをはじめに共有できていたのはすごく良かったと言えます。
認識を揃えながらも、同時進行でビジュアルの案出しも行います。
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文字や図像として認識できたかと思えば、次の瞬間にはただの点に戻る。
「点⇄線⇄面」の揺らぎが物事を観察するときの捉え方と一致する感覚がありました。
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静止画だけで思考するのではなく、ProcessingやAfter Effectsといったモーションツールを使うことでさらに発想が広がりました。
またモーションツールが使えないメンバーは、Adobe Illustratorを手動で動かす様子を画面録画して提案していました。
たとえ技術がなくとも考えを共有できれば、誰かが形にできるという環境は統合デザイン学科ならではだったと思います。
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4. 形にする
はじめは点を用いて抽象的な模様をビジュアルとして進めていましたが、試作を繰り返していく中で、文字を主体としたビジュアルが「点の結びつきによって見え方が変わる」という意図が最も伝えられると考えました。
点を用いたアルファベットでビジュアルを作りはじめ、デザインエンジニアリング部によるVisualPaintToolでさらに作業が進展しました。
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ビジュアル制作が中盤に差し掛かり、一度今まで作ったアルファベットを整理しました。
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それまでビジュアル毎に一人ひとりが文字を作っていたため、形態によってビジュアルのトーンが大きく変わっていました。ビジュアル決定後、さらに分担作業が増えることを考慮し、どの文字を使い、どのような構成にするのか詳細なルールを設けました。
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5. 完成
そうしてメインビジュアルが完成しました。
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今年のメインビジュアルではシンボルを設けずビジュアルを一つに定めませんでした。
わたしたちがひとつの事象だけに意識を向けるのではなく、関連性を見出してきたように、全体を通してはじめて伝わるビジュアルとしました。
これはコンセプトを表すだけでなく、SNS 、サイン、パンフレットといったさまざまな展開物に対応できる可変性という強みもあります。
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DMやパンフレットでもカラーを固定せず、3種類の展開を用意しました。
ひとつの定まった印象を与えず、全体感を通してビジュアルの世界観を伝えることができたと思っています。
6. 最後に
今年はアートディレクションを8人で行ったため、認識の擦り合わせや意思決定に時間がかかり、非常に大変な制作になりました。
しかし、それぞれが異なるインプット、能力を持っていたことで決して従来のやり方では生まれないビジュアル、展開物へと繋がったと思います。
各部の作業においては、多くの同級生、後輩にお手伝いいただきました。
本当にありがとうございました。
マネージャー
彦田弦哉
アートディレクター
米谷颯太、有本怜生、加藤美波、河内瑛大、豊島風雅、 久永ひな、日俣千樹、藤井菫
DM/ハンドアウトデザイン
加藤美波、米谷颯太
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