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#71 集団心理に飲み込まれていく投資とは

投資における「降伏」とは

「投資をやめること」ではないです。

例えば次のような例を見てみましょう

時は2000年代のITバブル絶頂期です。

職場の同僚と話していて

「IT関連のハイテク株を買おうと思っている」と言います。

どこの会社か聞いてみると、

「何だか良く分からないけど資産を2倍にしてくれるブローカーらしい」とのこと。

「2倍なんて無茶苦茶な話だ。」

と思っていたら数週間後、その同僚が来て

「2倍というのは間違いで‥‥4倍になった」
と言います。

そんなの、たまたまだろう。

と思っていたらバブルの絶頂期なので、そんな話が何度か繰り返されます。

最初は「そんな話があるわけない」と思っていましたが、だんだん我慢ができなくなります。

しかし、自分の投資方針は
長期のつみたて投資で、そんなハイテク株とは対称的に、ほとんど目に見えて増えることはありません。

それなのに同僚は資産が倍に膨れ上がっています。

自分の低い利回りに、だんだん見すぼらしさを感じます。

とうとう、我慢できなくなって、その何だか分からないブローカーから株を、買うことに決めました。

これが投資における「降伏」です。

このようなことを繰り返す人が群がって、そのブームが過熱し、バブルは崩壊します。

これは人間心理として仕方のないことで、避けることが難しいです。

ここに古典的な心理実験があります。

被験者の集団に紙の長さの違いを当てるクイズを出します。

真の被験者は1人のみで、残りの全員はサクラです。

どう考えても自分が正解しているのに残りの全員が違う回答をしたら、その答えに自信が無くなってきます。

この心理と同じです。

たとえ自分が明らかに当たっていても、集団の間違いの答えに同調する傾向があります。

リターンが高ければ自分の才能だと勘違いし、うぬぼれも強くなります。全てが上手くいっていて、周りも切れ者扱いしてくれるのは気分が良いものです。

しかし、謙虚で思慮深い投資家は、世間が過熱している時に自分の投資方針に沿って淡々と手堅く利益をあげて損失も少なくすることができます。

周りが過熱し、どう考えても無茶苦茶な利回りのものに投資し、過熱していても、自分の大切にしている投資信条を守り、思慮深く謙虚な投資を続けましょう。


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