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水やり

(私だけのための備忘録。書かないと忘れる。
逆に書くことでそれは確かな事実となる)
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kの存在が実感できなくなるほど、会えなくなって
魂と身体の限界を迎えた
筋トレだけではもうごまかせない
水が足りなすぎる
今にも枯れてしまいそうだ
今日は出社してると聞いたので、お互い残業等が発生しなければ
同じ時間帯に帰られるはず
せっかく新しい服着てきたし、kに見られたいとLINEした

ちょっと遅れ気味に現れたkは
やっぱりかっこよくて、じっくり見たいのに見れない
kの声は低すぎず高すぎず、私が落ち着く声域で
イルカの鳴き声のような周波数に少しずつ満ちていく

下から上までじっくり観察して

腰回りが前よりスッキリしたね
服も大ぶりのフリルが可愛い
パーマが似合ってないとか言ってたけど
似合ってる
後ろ姿も今までと違う 
ハードル下げないでむしろ「めちゃめちゃ似合ってる」って
自分で言っていこうぜ(笑)

とか
いつものように、ふざけた調子で言う

あと、気まぐれで右と左のペディキュアの色を
変えてたのが、気に入ったようで
ずっと足元みながら卑猥なことをふざけて言うけど
左の中指が何かにあたって色がかけてたから
じっくり見て欲しくなくて
高速で足を動かした
準備不足
服と髪を見てよ

たった3分間
触れることもできないけど
とりあえず生き延びるだけの水は得た

と、後でLINEしたら


「地球上から美人が消えなくてよかったわ。サキが生き延びれてよかった」

だって

どうしてこの男は、私が喜ぶ「言葉の水やり」をいつもできるのだろう

「kはさ、無駄にかっこいいよね。最大限にkの美しさを堪能できる私にkが供されないから、無駄だわ、そのかっこよさ」
「なるほどね。誰かに供されないと言う点で無駄な能力というわけか笑。ただ、時間軸をずらしてみると、その評価、解釈は変わるんだろうね」

どういう意味だろう
でも、どんなに頓珍漢なことを言っても、決して否定せず
一旦受け止めてくれるところが好き
本当に頭のいい人の証


とにかく、名もなき花である私は
なんとか、生き延びることができた
名もなきその花は、いつからかポツンと道端に咲いていた
花屋ほどの注目は受けないけれど、通りすがりの人が、可愛いね、きれいだね
と微笑んでくれた
けど、花はイマイチしっくりこなかったし、道端だからこそ珍しがって評価されてるだけだ、と思っていた
kという男がその花を見つけて、可愛いね、きれいだねと囁いた
いつも聞く社交辞令のようなものだと花は思っていたけれど、
花びらが全て落ちてしまうほどの愛撫と
根っこまでも美しいと言うkに
花の心は次第に変わり
花びらを全部落として、違う色の花を咲かせた
初めて
花は「自分はきれいだ」と朝露のような涙を浮かべた


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