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解毒

私には毒は必要だった。

一度全てを忘れて、「子育てに一所懸命なお母さん」だけではなく、一人の女を思い出す必要があった。

「カタルシス」を呼び起こすというやつなのかもしれない。

精神が洗浄されて、研ぎ澄まされ、奥深くに眠っていた感性を呼び起こした。

蠍の毒のように、ジワリジワリと効いてくる。

「毒は必要だよ。毒なのか薬なのか。決めるのは自分」。

そういった男は、甘美な毒を口に、言葉に含ませて、深い接吻をしたのだろう。

入口も出口もわからないぐらいなら、いっそのこと入らなければいい。

眠さで朦朧とする頭でそう思ったが、「いや、そもそも、入口も出口もなかった」と考えていてもいいし、「再入場する」という考え方も温かく私を包む。

物事は捉えよう。

私には毒は必要だった。

全ての事象は私の中で起こってる。

毒も結局、私の中の何かが反応して、自ら作り出したもの。

ただ、「毒」と「自分」が思うなら、それを一旦「解毒」する必要がある。

私は自分の自然免疫を信じてるし、きっとこの毒も私の記憶細胞がしっかりと記憶して、次へと備えるだろう。

大丈夫。全てを繰り返してるようでも、ちゃんとサイトカインは放出されてるはず。

より強固な精神のために。

大丈夫。余計なことに惑わされないように、私だって今は毒を放ったし、賢い男は近寄らない。

自分を美しいと思うのは、傲慢で醜いと指摘されるかもしれないけど、

美しくありたいと願って、前に進みたい。

私には毒「が」必要だった。

そして、解毒「が」必要だ。



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