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インスタントハウスを使った”絶景テント”が大人気。グリーンシーズンの魅力づくりに取り組む『かたしな高原スキー場』

東京から車で約2時間。
緑豊かな山に囲まれた『かたしな高原スキー場』では、雰囲気のあるロッヂに滞在しながら様々なアクティビティが楽しめます。

50年以上が経つ老舗スキー場を経営するのは、3代目にあたる澤生道(さわ しょうどう)さん。澤さんは前職・星野リゾートでの経験を活かし、新たなマウンテンリゾートへの進化に日々取り組んでいます。

今回は澤さんがなぜスキー場にインスタントハウスを導入したのか、詳しくお話をうかがいました。

『かたしな高原スキー場』
「自然と共にする時間を、より多くの人に届ける」をミッションに、「首都圏で唯一無二のファミリーマウンテンリゾートになる」をビジョンに掲げるマウンテンリゾート。スキー場だけでなく、1年を通して様々なアクティビティやツアーを実施している。東京から車で約2時間の好アクセスで、都心では体験できない大自然と触れ合う機会が得られる。
所在地:群馬県利根郡片品村越本2990
澤生道さんプロフィール
大都開発株式会社代表取締役。1982年片品村生まれ東京育ち。カナダの大学で観光学を学んだ後、星野リゾートにてマーケティングや社長アシスタント、ホテルフロント責任者等の勤務を経て、実家が経営するかたしな高原スキー場へ。エリア内で協力しながら同スキー場をマウンテンリゾートに進化させ、より魅力的な場所になるよう日々取り組んでいる。

自然と共にする時間を大切にしたい。インスタントハウス導入のきっかけはグリーンシーズン対策

画像1▲かたしな高原スキー場を経営する澤生道さん

ーーインスタントハウスはどのようにして知ったのですか?

インターネットで見つけました。それまで常設テントをやっていたのですが、風に弱いですし、クオリティとしてもちょっと物足りなさを感じていたんです。

何か全天候型でアウトドアを楽しめるものがないかと探していたところ、インスタントハウスに出会いました。

ーーインスタントハウスを導入する前に、実際にご利用されたとうかがいました。

はい。視察も兼ねてDOAI VILLAGEさんに家族4人で宿泊しました。
かたしな高原スキー場はファミリー層がターゲットなので、家族でも楽しめるのか確認したかったんです。

実際にインスタントハウスに泊まってみると、息子のテンションの上がり方を見て「これはいいかもしれない」と感じました。もちろん、大人の目線から見てもインスタントハウスの佇まいや品はとても良かったです。

ーーかたしな高原スキー場にはロッヂがたくさんありますよね。インスタントハウスなどのアウトドア施設はそもそも必要なのでしょうか?

大きな視点で見たとき、温暖化が進むことで今後スキー場の売上は減少していくと考えています。その部分の売上を春から秋にかけてのグリーンシーズンで補っていく必要があります。

インスタントハウスは初期コストが低く、設備投資としてとても良いと考えました。

あと、うちを利用される方は、キャンプのエントリー層が多いんですね。
なのでテントなどをレンタルしても、不安を感じる方が多い。

その点、インスタントハウスを使ったグランピングならキャンプを簡単に楽しめます。手軽に自然を楽しめる空間として、とても良いアイテムだと思いますね。

画像2▲冬になると雪が積もり、ロッヂを出てそのままスキーが楽しめる

画像3▲子どもから大人まで楽しめる、様々なアクティビティが用意されている

ーー近年キャンプはとても人気です。澤さんはこの盛り上がりについてどう考えていますか?

私は最近のキャンプの盛り上がりをとてもポジティブに捉えています。
今のキャンプ需要は弊社のミッションでもある「自然と共にする時間を感じる」に似たものがベースにあるように感じるんです。

私は子どもの頃から東京で暮らしてきたのですが、夏休みや冬休みは片品に遊びに来ていました。休みが終わって東京に戻って満員電車で大人の表情を見ると「なんか違うな」と、子どもの頃から感じていたんですよ。

なので、自然と共にする時間を感じることができるキャンプやアウトドアはどんどん広がってほしいと思いますね。

スタッフと一緒に挑戦した農園づくりが、グリーンシーズンの成功体験につながった

画像4▲かたしな高原スキー場で運営している農園

ーー澤さんがいらっしゃってから、新たに農園を始めたとうかがいました。

はい。私がこちらに来てから「グリーンシーズンに取り組もう」となったのですが、当時は特に魅力もなく、やったことがないのでスタッフたちも自信がない。何で集客すればいいのかわからない状況でした。

都心の人の心をとらえて、なおかつ自分たちの強みを活かせるものがないかなと考えたとき、農園がいいんじゃないかと思ったんです。

画像5▲農園にはビニールハウスもあり、季節に応じて様々な野菜が育てられている

実はスキー場のスタッフには、実家が農家をしている方が多いんですね。やってみると経験値の高いメンバーが揃っていたこともあり、1年目からかなり本格的な農園ができました。

結果的にお客さんも喜んでくれて、売上もアップしたんです。
農園にチャレンジしたことで「自分たちで考えてやってみたらお客さんも喜ぶし、売上も上がるんだ」という自信につながりました。これは良い成功体験でしたね。

画像6▲農園の目印はミッフィーちゃん

絶好のロケーションに設置されたインスタントハウスは大人気!

ここからは実際にインスタントハウスが設置されている場所に行き、お話をうかがいました。

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ーー…インスタントハウスのロケーションが最高ですね!

はい。インスタントハウスを設置するにあたっては、スキー場の強みを活かして景色の良い場所にこだわりました。
うちではこのインスタントハウスを「絶景テント」と呼んでいるんです。

画像8▲まさに”絶景”という言葉がピッタリ

画像9▲インスタントハウスの中でもミッフィーちゃんを発見

画像10▲インテリアは落ち着いた北欧調で統一されている

ーートイレやお風呂はどうしているんですか?

インスタントハウスのすぐ近くにある共用のキャビンを使っていただきます。

画像11▲最近リニューアルしたばかりのキャビン。インスタントハウスのすぐ近くにある

画像12▲中はミッフィーの世界観が感じられるあたたかな雰囲気

画像13▲シャワールームも完備

ーー木のぬくもりが感じられる、素敵なキャビンですね。

ありがとうございます。最近リニューアルしたばかりなので、気持ちよく使っていただけると思います。

ーー食事はどのような形になりますか?

夕食はテントまで車でお迎えに行き、下の施設にご案内しています。施設では食べる野菜を自分たちで収穫する「自採りBBQ」をお楽しみいただけます。

朝食はバスケットケースにホットサンドを作るセットを入れて、指定の時間にお届けにあがります。デッキの上でホットサンドをつくって召し上がっていただく形で、こちらもとても好評です。

画像14▲景色の良いデッキの上で食べる朝食はぜひとも体験したい

ーーインスタントハウスを実際に導入してみて、反応はいかがですか?

まだ導入してから1ヶ月ほどしか経過していませんが、おかげさまで土曜日は全部埋まっていて、夏もすでに3分の2が埋まっている状況ですね。

利用された方からは「景色が良かった」「夜の焚き火が良かった」「星空がキレイだった」といったお声を頂いています。

インスタントハウスの良さは、自然に溶け込んでくれて、アットホームな雰囲気にも合うところですね。

画像15▲自然の中にポツンと置かれたインスタントハウス。不思議とミッフィーの世界観を感じることができる

「安心できる息抜きの場を作りたい」澤さんが目指す、これからのマウンテンリゾート

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ーー今後の展望について教えていただけますか。

冒頭でお話しした通り、温暖化の影響を受けて、スキー場の収益はこれから少しずつ落ちていくでしょう。昔のままのビジネスモデルではいずれ行き詰まってしまいます。

でも、まだまだ人はしっかりと集まってきてくれている。
その方たちに対して農園やインスタントハウスなど、グリーンシーズンの魅力を伝えていければと考えています。

私たちはミッションとして「自然と共にする時間を、より多くの人に届ける」を掲げているんですね。
なので、決してスキー場だけにこだわる必要はありません。
尾瀬の夜空を見てもらうアクティビティを作ったり、山小屋を作ったり、色々とやってみていいと思っています。

今はコロナで、大人はもちろん、子どもだって大変なストレスを抱えていますよね。
マウンテンリゾートとしての役割を考えたとき、大人から子どもまでが安心できる、息抜きの場を提供したいと、本気でそう思っています。

編集後記

取材の合間、澤さんとは同じ年齢の子を持つ親として、子育ての話が弾んだ。

澤さんは片品へ移り住んだことで、畑をしたり、自分で味噌を作ったり、丁寧な暮らしができるようになったという。
そんな澤さんの日々の生活に対する考え方や価値観が、かたしな高原スキー場にもしっかりと反映されているように感じた。

自分を取り巻く環境が変化したとき、それをピンチと捉えるかチャンスと捉えるかで、結果は大きく変わる。
かたしな高原スキー場は自然と共に、丁寧にゆっくりと変化していく道を選んでいる。

かたしな高原スキー場ホームページ

インスタントハウスについて詳しく知りたい方はこちらからどうぞ

《文・写真=長濱裕作


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