すずきけんた

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マガジン

  • なげいれの作家を名乗るまで

    日本の花を活ける技術を学び、花人になるまでのプロセス。

最近の記事

フリーの海屋始めてました。

なんとまぁ実は個人事業を始めて2期目なのですが、重い腰をあげ、いくばくか整理して残しておこうと思います。 海屋ってなんや。 海というフィールドで仕事を何個かしており、インストラクターではくくれんなぁということで海屋としておくことにしました。 実際今の本業は花屋ですので、海屋と花屋です。 現在海の仕事を5つほどしています。 個人で ・神奈川県三浦市の胴網海岸と藤沢市の江ノ島で、サップとアウトリガーカヌーの体験会を不定期開催。焚き火やテントサウナを楽しみつ、港街三崎の海鮮

    • 不都合はだいたい突然やってくる。

      1608-2  がん患者で64歳の男性は、薬の副作用で体が痛いらしく、夜中に「痛いよ」とすすり泣いていた。あんなに悲しい男の声を聞いたことがない。 ラジオが音漏れするほどの音量で流れている。闘病生活に蓋をするラジオの聞き方だった。 1608-3 もの腰柔らかで素敵な声の男性62歳は多分職場でも好かれてそうな人だと思った。声だけで、職場のいい上司、いいお父さん、そんな彼の姿が簡単に想像できるような声だった。ある日、手術を終えてからほとんど声を発しなくなり、代わりに聞こえてくる

      • ルームサンダル

        無印のルームサンダルを毎日履いている。山形出身でも横浜の室内は寒い。むしろ地元より部屋の中は寒い。家が防寒仕様になってないから、関東圏の室内の方が寒いと聞いたことがある。 寒い1Kで生活するための相棒が、犬の匂いがしたので洗うことにした。 洗面台にお湯をためて浸けると、泥まみれのユニフォームを洗った水の色になった。 「これはサンダルが茶色いからかな」 呟いたが無理がある。いきなり色は抜けない。 柔軟剤を使ったがふと思う。 誰に見せるでもないルームサンダルに匂いをつけるの

        • 海に向かえば

          海に揺られていたいといつも思う。 思えば僕は、要所要所で海に救われてきた。 初めての転校で親友と仲良くなるきっかけをくれた日本海での磯遊び、自分の生業となるライフセービング、振られて吹っ切れたきっかけのダイビング、適応障害になり社会への接点となり続けてくれたカヌークラブの幼児教室。 この縁はなんなのだろう。 加えて自分の興味がそそられることに、水の要素が入り込むことが多い。 言葉では「揺れる」「流れる」「たゆたう」「打ち寄せる」「循環」。 好きな色は青とネイビー、自

        フリーの海屋始めてました。

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        • なげいれの作家を名乗るまで
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        記事

          目標なんて小さくていいのかも。

          ひょんなことから、アド弁当カレンダーたる企画に参加している。Twitterで募集をしていたので、やりますと手を挙げてみた。誰も友達はいないし、実際に何分か会話した人が1人だけ。それがこの方コスモ・オナンさん。 ライター講座の懇親会で初めて会った時の会話は、 僕「かえでさんですか?」 コスモさん「いえ、コスモです。」 あの時はすいませんでした。 企画者の方々参加させてもらってありがとうございます。 連載をまとめたマガジンはこちら ではでは、「今後の目標」の話になります

          目標なんて小さくていいのかも。

          傍観者ではいられない

          てんちむのYouTubeを見て、正直びっくりした。 トップYoutuberのチャンネルはなんとなく見ないようにしてた。 他人の「〜してみた」にあまり興味はないし、悪ふざけのコンテンツのようで好きじゃない、そんな偏見があった。 たまたま今日は知らない世界を見ている。 極めて突き抜けたい、今の現場を打破するために努力したい、甘えたいくなる自分もいるけどそんな時は正して欲しい、そんな人達がいた。 今まで見てきたビジネスや消防の世界のプロと変わらないプロだった。 てんちむは、借

          傍観者ではいられない

          自分の整理整頓

          「人は片付けられなくなる」 気持ちではなく機能として。 初めて孫からもらったもの、結婚祝いのプレゼントや誕生日プレゼントなど、歳をとるごとに嬉しい出来事がものとなって家に増えていくだろう。 思い出を引っ張り出して感傷にひたるなんてこともできる。過去に思いをはせるのも歳を重ねたからこそできることだと思う。 だが、事実として人は毎秒毎秒歳を取っていく。筋力は弱まり、歩いたり掴んだりすることが、だんだんできなくなってくる。 毎日のゴミ捨てができずにゴミがたまる。 それにつま

          自分の整理整頓

          「生きる」は止まらない

          換気扇がカタカタする音と生温かい日差しに包まれながら、ぼんやりする時間が多かった。布団は体温でぬるくなり、髪もすこし脂ぎっている。 ベットの上でYouTubeのゲーム実況を見るのをやめ、右手を訝しげに眺めながら「なんだかんだ生きるって続くなぁ」とぼんやり考えた。 日差しに照らされたほこりをただ眺めている。このまま亡くなれば黒く変色し、即身仏のようになっていくだろう。 下記のnoteでも触れているが、たくさんのご遺体を見てきたので、「死」は近いところにいる心持ちだ。 頼んで

          「生きる」は止まらない

          良書は心に温かし

          「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」 この本は、いとこから心の処方箋としてもらった。 病気になった連絡をしたその日の夜、数時間後にはドアノブに本がかかっていた。僕の家の住所も曖昧なまま、嗅覚でなんとかたどり着こうとしていた(住所は結局教えたけれど)、そんなハートフルないとこである。 ご丁寧に用法まで添えて。 僕は今、適応障害からくるストレスで中度のうつ病と診断され休職中である。新しい職場での自責の念が続き、「誰でもいいから助けて欲しい」そんな心持ちで心

          良書は心に温かし

          おしゃれなスパルタ

          僕はおしゃれが好きだ。UNIQLOや無印などシンプルな格好をメインにしつつもどこか人と違うおしゃれをしたい。ささやかなおしゃれをプラスして気分よく過ごしたい。 自分のためのおしゃれ。誰にも邪魔されない不可侵領域。 気づいてくれる人にはありがたいと思いつつも、少し恥ずかしくなってしまうそんなおしゃれ。勝負下着とかね。 そんな僕が、「2020年これは買ってよかったもの」としてお勧めしたいのは ネイルです。 One Directionのハリー・スタイルズだってスカートを履く

          おしゃれなスパルタ

          空っぽな「愛をもっと」

          ライフセービングを始めたきっかけと今後の僕。 大学1年生の時、サークルの勧誘会に誘われた。 「焼肉奢るからさ」 初めての一人暮らしで贅沢な食事の誘いは、興味がなくてもいく理由には十分だった。 興味が無いもんだから記憶もなく、焼肉の匂いが充満した先輩の車内で、よく知りもしないレミオロメンの曲の「愛をもっと」のサビだけ歌って先輩に合わせた。 そのしておいた方がキャンパスで会った時に、特に意味も無い「うぃ」とでも言ってくれるだろう。 「サカナクションのネイティブダンサー

          空っぽな「愛をもっと」

          どす黒くて乾いた水たまり

          以前消防士として働いていたのだけれど、「人のような何か」をよく見た。 お医者さんも看護師さんも見ることのないだろう、あとは処理されるだけのものを現場で見た。 黒く変色し虫だらけのもの、膨れ上がっているもの、何かで貫かれているもの、ぐちゃぐちゃなもの、悪意を向けられたもの、そうなることを望んだものなどキリがない。現場は生活の匂いが残っている部屋もあって、思ったより「死」は身近なものなんだなと思った。 異常な空間を自分が再現することになるかもしれないと思うと、異常も自分の延

          どす黒くて乾いた水たまり

          うどんには差し水を、言葉には他者を

          ところで、うどんを茹でる時は吹きこぼれないように差し水をするよね。 それがオフラインのやりとりで、独りよがりなコミュニケーションをしないようにすることと似てるなと思った話です。 オンラインだけの環境になってしばらく経った。 伝えたいことはあるのだけれど、長文で個人の話をだらだらと話してしてしまったり、結局何書いてるんだかわからなくなったり、見返して「あぁ」となることが増えた。 テキストは残るからなおさらね。 気分が落ちている時なんかは自分で送っといて目がチ

          うどんには差し水を、言葉には他者を

          こころとからだ。

          転職してはや5ヶ月。 人の映像解析で人数と男女を識別する事業も好き。 上司も優しく厳しく失敗させてくれて個人の判断に任せてくれるから好き。 お金も困らない。 海外の製品を扱っているので、海外との接点も海外出張も何度もチャンスはある。 職場はリモート推奨、勤務時間もほぼフレックス。 だが合わないことがある。根本的に合わないもの。 からだである。 夜勤の次の日は必ずお腹を下す。自律神経がポケットにねじ込んだイヤホンのようにこんがらがっている。 体調不良で休んだの

          こころとからだ。

          こんな場所が欲しかったのかもしれない

          転勤族として中学生まで過ごし、0からスクールカーストへの参戦を繰り返したから。 親に褒められたことの記憶がないから。失敗を笑われたから。理解を放棄するような言葉を投げかけられたから。 弟が自分より頭のいい大学にいき、サッカーも全国大会に行ったから。 あげればキリがないが、「何かをしていない自分を卑下すること」が多い。 終わりのない「何かをやっていないと不安」に疲れる時がある。 できそうなことに手をあげ、無理をして、性悪説の他人の声を想像し、いたたまれなくなって、フェ

          こんな場所が欲しかったのかもしれない

          考えるだけが正義じゃない。

          思考の行き着く先は際限なく、哲学というものも自己理解の一端を担う以外は苦しいだけなのだろう。全てに対して問いがたてられるのだから。 考えることを大事にしてきたはずだ。 何も考えないのはどうしようもないやつだと思っていた。 日々の感情も、仕事に対しての疑問も、どう感じているか、考えていない奴には哀れみさえ感じていた。 なんでそんな能天気に生きれるんだ。 ただの嫉妬である。 これが俺だと認められる強さと、わからないけどやっているという謎の自信を持ってい

          考えるだけが正義じゃない。