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クラファンで成功したけど最初は断られた

2020年夏、電子楽器インスタコードを量産するための資金調達として、クラウドファンディングを実施し、約7900万円の予約注文が集まりました。
国内では異例の記録で注目を集めましたが、実は最初、複数のクラウドファンディング運営会社から実施を断られました。

試作機で売れると確信

2019年の秋に最初の試作機が完成して以降、海外の展示会に出展したり、アンケート調査を行なったりと市場調査を進めて「この商品は売れる」と確信しました。

しかし量産には数千万円の費用が必要です。

前の記事で書いた通り、銀行が貸してくれるわけもなく投資家に頼る気もなかったのでクラウドファンディングを検討しました。
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投資型クラウドファンディングに断られた

最初は投資型クラウドファンディングの運営会社に相談しました。

投資型クラファンとは

投資型クラウドファンディングとは、個人投資家から数万円〜数百万円の小口投資を募り、事業が黒字化したら数年かけて出資分をプラスにして返すという企画です。

投資なので融資と異なり会社が潰れたら返済の必要はありません。

株主ではないので、経営の自由度は保ったままですし、返済の期間が終われば利害関係は一切無くなるという仕組みです。

購入型クラウドファンディングだと、商品を手に入れたら終わりですが、投資型だと会社の成長を応援してくれる仲間が増える感じがして、とても魅力的だと思いました。

楽器市場を調べたんですか?とバカにされ

クラファンの実施には審査があります。

「プロデューサー」とか「マーケター」とかいう20~30代のイケてる男女が20~30人集まっている場でプレゼンさせられました。

皆さん製品には興味津々でした。

でも、事業目標として、累計40万台、売上100億円と大風呂敷を広げちゃったのが悪かったんですよね。

音楽経験があるという運営会社の社長から
「あなたは楽器の市場規模を調べたことあるんですか?」と、バカにしたような口調で質問されました。

もちろん楽器市場は事前に調査していました。40万台というのは楽器としてはとんでもなく大きい数字だということは重々承知していました。でもインスタコードはこれまで楽器に触れたことの無い人も購入するので、楽器の市場規模が当てはまらないことも事前の調査で明らかになっていました。

今までにない画期的な商品は、市場そのものを創出するので、既存の市場と比較できないんです。

事業計画が甘いと断られた

プレゼンでは40万台という数字の根拠を私なりに並べたつもりですが、後日連絡があり、事業計画が甘いという理由でプロジェクトの実施を断られました。

ちなみにプレゼンの最後、「この中に、これを買いたい人いる?」と社長がスタッフの皆さんに聞く場面がありました。
そこで25人中4人が手を上げました。
この数字は裏付けにならなかったんですね。

まあ、クラファン会社にいわれた通り想定が甘かったことは否めませんが、日本国内だけでも40万台というのは、ムリな数字ではないので、実現に向けて計画的に着実に進んでいます。

購入型クラファンに断られた

つぎに、購入型クラウドファンディングの運営会社に行きました。

購入型クラファンとは

購入型クラウドファンディングとは、製品を買いたい人が購入代金を前払いして支援する仕組みです。

目標金額に到達しなければプロジェクトは不成立となり、お金は入ってきません。もちろん支援者の支払いは発生しません。

インスタコードが本当に市場に求められているかどうか確認するには良い手段だと思いました。

目標金額はせめて1000万円以下にしてください

私が提示した目標金額は5000万円でした。
量産のために必要な最低限の金額をクラファンの目標金額に設定したいと申し出たのです

もし達成しなければ、市場性がないという証拠なので諦めがつくし、本当に製品化するかどうかの判断材料になるからです。

しかしクラファン会社からは、目標金額を 1000万円以下にしないとウチでは無理です。と言われました。

そう言われた理由は2つあります。

1:目標金額が高すぎるとユーザーは支援を躊躇する。
2:目標達成できなかったら運営会社の収入はゼロになる。

そして何より、個人で目標金額5000万円を達成したクラファンは、日本では前例がありません

クラファン会社にはもっと大きなリスクが

さらに、後で分かったことですが、クラファンの決済は主にクレジットカードを使いますが、クレジット会社は、支援者一人ひとりの与信審査をします。

もし目標金額を達成できなかった場合、数千万円分の審査だけ行って決済は実行されないことになるので、クラファン会社はクレジット会社からの信用を失い、場合によっては取引停止になる恐れすらあるそうです。

そんな悪条件のクラファンにも関わらず「やりましょう!」と一肌脱いでくれたのが kibidango(きびだんご)でした。

次回「クラファンの支援が増えすぎないようブレーキをかけた」という話

今後もこのnoteでは、私がハードウェアスタートアップの起業で経験したことや、失敗しないものづくりのノウハウなどを書いていきます。

次の記事では、クラファンの支援が増えすぎないように途中でブレーキをかけた話を書いています。

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インスタコードにも興味を持っていただけると嬉しいです。

インスタコードHP

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