見出し画像

[決算][Qualcomm] 2023年度(2022年10月~2023年9月)


オリジナルデータ

FY2023 4th Quarter Earnings Release
FY2023 4th Quarter Earnings Presentation 

スマートフォンに搭載されるチップなどを設計する半導体メーカー Qualcomm の2023年度決算が2023年11月1日(水)のニューヨーク市場引け後に発表されました。


決算を読む

まずは決算数値を Earnings Release で確認し、最後に Presentation で23年度第4四半期のトピックを確認します。


2023年度

2023年度通期の売上高は358億ドル(1ドル=150円換算で53,700億円)、純利益は94.86億ドル(利益率26.5%)でした。

過去最高だった2022年度の売上442億ドル、純利益142億ドルからは大幅に減少しましたが、それでも2年前、3年前よりも大幅に売上高は増えています。詳細は次項で。


セグメント別売上高の推移

コロナ禍の直前2020年度第1四半期(Qualcommの年度は少しずれているので、2020年度第1四半期は2019年10月~2020年1月です)からのセグメント別売上高の推移をグラフに示します。

20年度第4四半期から22年度にかけて明確かつ強く成長しています。22年度第4四半期の売上に至っては20年第1四半期の倍以上。
23年度に入っては明らかに減速していますがそれでも21年度よりは高い売上を上げています。

なお縦軸の単位は100万ドルです。

過去4年間の四半期別、セグメント別売上高推移
23年度からRF-front endセグメントがHandsetsに統合されています

次の3カ月の見通し

次期(2024年度第1四半期)の見通しは、QCT全体とQTLでそれぞれ売上高 $7.7B~$8.3B、$1.3B~$1.5Bです。それぞれの中央値$8.0B、$1.4Bを上の売上推移のグラフに追記すると以下のようになります。この見込にもとづくと売上は23年度第3四半期(4~6月)を底に回復傾向にあると言えそうです。

利益についても、今期のEPSが$2.02なのに対して次期は $2.25~$2.45 を見込んでいます。

売上高推移に、24年度第1四半期の見通しを破線で追記

トピック

最後に、Presentation5ページに記載の Q4FY23 QCT Highlights から主なトピックを確認します。

Earnings Presentation pp.5 より引用
  • モバイル向けのチップ Snapdragon® 8 Gen 3 を公開した。

  • Appleと契約締結。2026年まで Apple に Snapdragon 5G Modem-RF System を供給する。

  • Qualcomm史上初のPC向けCPU「Oryon」を搭載したPC向けのSoC「Snapdragon® X Elite platform」を発表した。

  • Wi-Fiの次世代規格「Wi-Fi 7」に関して他社との協業多数。

  • Metaと共同で Spatial Computing 関連の次世代技術の開発中。

最近のAppleは、Macに搭載するCPUを内製化するなどこれまでAppleに部品を供給してきたメーカーに冷たい仕打ちをしてくれちゃっているので QuaIcomm にも影響があるかと懸念していましたが、とりあえず2026年までの供給契約を結べたことは安心材料。確保した3年の間に、Appleへの売上がなくても問題ないくらい強く広い顧客基盤を整えてほしいところです。


関連記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?