[決算][RTX] 2022年第2四半期(4~6月)
オリジナルデータ
URL : https://investors.rtx.com/events-and-presentations
ここに4半期決算を含め2020年以降のPress ReleaseやPresentationが日付順に並んでいます(2023年8月現在)。レイセオン・テクノロジーが誕生したのが2020年春なので、たぶん誕生以来のすべての Press Release が見れます。
最新の決算は、このページのいちばん上に。
2023年第2四半期決算は2023年7月25日公表。
この記事ではRTXの製品名などを何の説明もなく使用しているので、適宜、別記事 [決算を読もう!] RTX に記載の「知っておきたいキーワード」を参考にしてください。
決算を読む
以下では Press Release を読んで 2023年4~6月の決算数値を確認していきます。Presentation は Press Release からエッセンスを抽出してコンパクトにまとめた感じなので、以下の総括は Presentation の3ページ、部門別の売上高と営業利益は Presentation の4~7ページと並べて見ると、良いと思います。
※この記事は Press Release の記載に沿って書いているので、Presentation とは項目の並び順が違います。
2023年第2四半期(4~6月)の総括
3か月間の売上高は183.15億ドル(前年同期比12%増)。Organic growth は 13%増。
調整後純利益は19億ドル(前年同期比10%増)。
営業キャッシュフローは7.19億ドルの収入、Capital Expenditureに5.26億ドルを支出。
この結果として、フリーキャッシュフローは7.19億ドル ー 5.26億ドル = 1.93億ドル。
受注残は1,850億ドル(うち防衛関連が730億ドル、民間向け航空機関連が1,120億ドル)。
以前から継続している統合によるシナジー効果で7,000万ドルを追加で原価削減し、以前掲げた15億ドルの原価削減目標を達成した。
5.96億ドルの自社株買いを実施した。
2023年通期見通し
売上高は730~740億ドルの見込み。前回予想720~730億ドルから上方修正。
調整後1株あたり利益は、4.95ドル~5.05ドル。下限値を4.90ドルから上方修正。
フリーキャッシュフローは43億ドル。前回予想48億ドルから下方修正。
自社株買い枠は30億ドル。
CEOによると、4部門のすべてで増収。一方、Pratt & Whitney 部門で、予想より早い時期に航空機の検査が必要になることが明らかとなり、これがフリーキャッシュフローの減少につながった(実績、予想ともに)。安全第一。
主な防衛関連の受注残詳細
Pratt & Whitney 部門
F135の生産20億ドル
F117の保守15億ドル
Raytheon Missiles & Defense 部門
AMRAAMの生産12億ドル
Javelinの生産2.65億ドル
AIM-9Xの生産2.51億ドル
CLEAVAR counter UASの生産2.37億ドル
機密事項案件2.94億ドル
Raytheon Intelligence & Space 部門
サイバー防衛関連サービス3.22億ドル
機密事項案件11億ドル
合計すると、Pratt & Whitney 部門が35億ドル、RMD部門が22.47億ドル、RIS部門が14.22億ドル。会社全体の防衛関連の受注残合計は730億ドルなので、上記以外にも細かい案件が多数あると思われます。
部門別の売上高と営業利益
最初に、部門ごとの売上と調整後営業利益の割合をグラフで示します。
売上は Collins Aerospace、Pratt & Whitney、Raytheon2部門がバランスよく計上しており、安定感を感じさせます。調整後営業利益は、航空機部品の Collins Aerospace が高めでした。
以下、Press Release に記載の各部門状況を順に見ていきます。
Collins Aerospace 部門
売上高は58.5億ドル(前年同期比17%増)。
民間航空機のアフターマーケットが29%増。
Commercial OEが14%増。
防衛関連が5%増。
営業利益は8.21億ドル(前年同期比50%増)。
生産コストの増加は販売数量増加と製品ミックスの改善で吸収できた。
調整後営業利益は8.37億ドル(前年同期比36%増)。営業利益率は14.3%。
今期は非中核事業からの撤退に伴う0.69億ドルの費用を計上している。
Pratt & Whitney 部門
売上高は57.01億ドル(前年同期比15%増)。
民間航空機のアフターマーケットが26%増。
Commercial OEが22%増。
防衛関連がマイナス3%。
営業利益は2.3億ドル(前年同期比マイナス24%)。
顧客の倒産(insolvency)の影響で1.81億ドルの損失を計上している。
調整後営業利益は4.36億ドル(前年同期比44%増)。営業利益率は7.6%。
生産コストと研究開発費用の増加を、好調なアフターマーケットとCommercial OEの製品ミックスの改善で吸収した。
Raytheon Intelligence & Space 部門
売上高は36.55億ドル(前年同期比2%増)。
Sensing and Effects、Cyber and Services programs で販売が増加した一方、Command、Control and Communications programs では販売が減少した。
営業利益は2.91億ドル(前年同期比マイナス8%)。
製品ミックスの悪化と営業経費の増加し、見込んでいた販売数量増が実現しなかった。生産性は改善したが補えなかった。
調整後営業利益は2.97億ドル(前年同期比マイナス6%)。営業利益率は8.1%。
Raytheon Missiles & Defense 部門
売上高は40億ドル(前年同期比12%増)。
Air Power、Advanced Technology、Land Warfare & Air Defense programs での販売数量が増加した。
営業利益は4.15億ドル(前年同期比19%増)。
販売数量が増加、効率改善プログラムが奏功したことで、製品ミックスの悪化を補った。
調整後営業利益は4.27億ドル(前年同期比23%増)。営業利益率は10.7%。
関連記事
「この会社の事業内容、決算知りたい!」募集中。