「極端に振って考える」と判断がラクになるよ、という話
メインビジュアルの写真、「全く逆(両極端)の方向を覗いてみたら、何かわかるかもよ」という表現としてはなかなか良いなぁ、と思いました。今回は、「判断するための考え方」について、書いていきます。
「判断」に迷う時の例
仕事をしている上で、判断に迷うことは多々ありますよね。
そういう時は上司に判断を仰ぐことになると思うのですが、上司だって迷うし、上司の「判断」そもそもイケてなかったとしたら、地獄です。そんな時に「上司のせい」にすることはできても、結局仕事の負担がかかるのは自分だったりするので、できる限り自身で「判断」できるようになっておくことは重要です。
例えばこんなシーンがあったとします。
(例1)
・クライアント側から「予算がない」という理由で値下げを要求されました。対応しますか?
(例2)
・クライアントとのコミュニケーションツールにチャットツールにしようとしたが、クライアントがメールを希望しているのでメールにで対応した方が良いか?
皆さんならそれぞれどう「判断」するでしょうか?
「極端に振る」とこうなる
まず、結論は下記になります。
(例1)について
→対応しません。
(例2)について
→対応しません。
既に上記の結論になったとしたら、「極端に振る」という判断をしなくても問題ないので、この「考え方」が必要ないかもしれませんが、これを「極端に振る」発想で考えるとこうなります。
(例1)
・すべてのクライアントが「予算が無い」という理由で値下げを要求してきました。対応しますか?
→対応しません、、、というよりできないですよね。
仮にすべてのクライアントの値下げに対応したら、損益分岐点を割ることになり、ビジネスとして成り立たなくなります。
そう考えると、もともとの(例1)は、ビジネスとして成り立たない価格について「1社だけだから」という理由で「値下げ受け入れるか」を考えていたことになります。
一方で、今回のようなケースで「予算が大きくてスケールメリットがあるクライアント」なら対応するケースもあります。
上記の理由と「クライアント側の"予算がない"という事情」は一緒ではありません。ここの違いは理解しておく必要があるので注意です。
(例2)
・クライアントとのコミュニケーションツールにチャットツールにしようとしたが、クライアントがFAXまたは対面での会話を希望しているので対応した方が良いか?
→対応しません、、、というよりこちらも対応できないですね。
もしもクライアントに対してFAXや対面でのコミュニケーションのみで対応していたとしたら、FAX代や交通費、それにかかる時間を鑑みて、何倍もの時間とコストが発生してしまいます。そのような対応をするのであれば、チャットツールを条件に値下げの提案をした方が、双方にとってメリットです。
もともとの(例2)では、「メール」という今も使っているツールのため、判断に迷ってしまいましたが、あえて一昔前のツールに遡って考えると、判断しやすくなります。
これが「極端に振る」という考え方になります。そして、ここには大きく2つの軸があります。
「極端」の2つの軸とは?
「極端に振る」方法として2つの軸があります。それは「包括軸」と「時間軸」です。
包括軸:すべてが対象(対象外)になっても対応できるか?
時間軸:100年前(100年後)でもそれを対応しているのか?
今回のケースの場合、(例1)が「包括軸」で、(例2)が「時間軸」で判断したことになります。
また、「包括軸」については下記のような考え方もできます。
(例3)跡継ぎ問題について
「地方の老舗店舗の跡継ぎが見つからない」という話をよく耳にします。
この課題について、「田舎だから人が来ない」ことや「古いビジネスだから魅力がない」という点を原因と言われることが多いように思います。
ところで、ここに対して「極端に振る」と下記のようなことが考えられます。
極端な例(包括軸):年収1億円で求人募集を出しても跡継ぎは見つからないか?
「それなら見つかるよ」という結果になるのではないでしょうか?
そうなると、実は跡継ぎが見つからない理由が「田舎だから」や「古いビジネスだから」ではなく、「給与を出せないから」ということになります。
実は「場所(=田舎)」の問題でも、「サービスの魅力(=古いビジネス)」の問題でもなく、シンプルに「給与(=利益が少ない)」という問題だったのです。
であれば、解決策も変わってきます。単純に利益を上げるための工夫をすれば良いのです。
このことに気付けないと、「そもそも田舎であることは変えられないから無理」といった諦めの発想で、負の循環になっていたかもしれません。
こういったことに気付けることが「極端に振る」ことのメリットだと思っています。
次に、「時間軸」で「極端に振る」例として、プライベートな例を挙げてみます。
(例4)電子マネー登録、なんとなく面倒だし先送りしておこう
極端な例(時間軸):10年後も電子マネーを利用していないと思いますか?
仮に現時点で電子マネーを利用していないとして、今後10年、20年後に世の中はどうなっているでしょうか?キャッシュレスでしか清算できないお店は確実に増えるし、その過程のどこかで必ず電子マネーを登録して利用することになるでしょう。
どうせやるのであれば、早くから使っていた方がより長く便利な生活ができそうです。もしも電子マネーの登録をしない理由が「なんとなく」や「面倒だから」という理由であれば、すぐに登録した方が良い、という「判断」ができます。
こんな感じで、「極端に振る」という癖をつけておくと、間違った「判断」や、「判断」に迷う機会が少なるなると思っています。
補足:「判断」と「決断」の違い
ところで、皆さんは普段から「判断」と「決断」について、意識して考えていますか?先ほど、あえて「間違った判断」というワードを使ったのですが、「判断」と「決断」については下記の違いがあります。
「判断」:正しく対応できれば、誰でも同じ結果になる。ジャッジメント。
「決断」:わからないことを決めること。意思決定。
「判断」は正解があります(ゆえに間違った判断というワードを使いました)。「決断」には正解がありません。
そういう意味で、物事を考える時の前提として、いま考えていることは「判断」なのか「決断」なのか はしっかりと区別できると良いと思います。
ビジネスにおいては、「判断」はスタッフ層でも求められるスキルで、「決断」はマネジメント層・経営層に必要なスキルになってきます。
そして「判断」がメンバーの誰でもできるようになっている組織は強いです。全員が判断できる組織であれば、上司は「決断」だけをすれば良いのですから。
まとめ
なんだか長くなりました。まとめると下記です。
・「極端に振って考える」と判断が楽にできる
・「極端に振る」方法として「包括軸」と「時間軸」がある
・「包括軸」はすべてが対象(対象外)になった場合で考える
・「時間軸」は極端な未来(100年後) or 過去(100年前)で考える
・「判断」と「決断」は違うことを理解しよう
以上、このあたりの発想で考えられると、「判断」がラクになるよ、という話でした。