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3つの失敗で語る、マネジメント論

一見すごそうなお題目ですが、中身は私の失敗談です。
正直ここまでたくさん失敗してきましたが、そのすべてに学びがあり、それがあっていまがあると思っています。
尚、このnoteは2nd line(部門長)の目線で書いています。私の職位が部門長だからです。私については以下をご覧ください。

--本題--
今回は自分自身の整理も含め書いてますが、こんな方に読んで欲しいです。

・これからマネージャーを目指す人
・2nd lineを目指したい人
・いまマネージャーとしてうまくいっていない人
・上司をうまく扱えていない人

また事前にアンケートを実施させていただきましたが、結果は以下の通りでした。一番お困りなのは戦略・戦術についてですね。私もですw

0. マネージャーの要件定義

ここがズレるとこのnote自体がズレていくのでまずはここから整理しておきます。まずはマネジメントの階層について。

1st line マネージャー(日系企業だと課長、規模によっては係長など)
2nd line マネージャー(日系企業だと部長、規模によっては課長など)
3rd line マネージャー(日系企業だと本部長、規模によっては部長など)

つまり会社呼称名称が違うので名前自体に意味はありません
それよりも重要なのはどの階層か、ということです。

また、一般的には1人に対して7名前後のメンバーが最適と言われています。
2nd lineも同様にチームになる1st lineは7名前後まで、となります。

さて本題の職務要件定義ですが、今回は以下のように定義します。
※わかりやすくするために役職の名称を擬似的につけます。
※私も当時言われましたが”査定と採用”に携わっているかどうかはかなり重要です。できれば目標設定までしていると尚可。

基本要件
 ・組織の成果に責任を持つこと
 ・給与の査定、もしくはそれに準ずる金銭的な報酬に関与すること
 ・異動、採用、昇進昇格の人事に携わること
 ・ビジョンを描き伝える力

1st line(課長)
 ・最小チームの成果(売上や件数など)に対する責任
 ・四半期戦略と単月戦術の策定と実行
 ・チームメンバーの採用と育成

2nd line(部門長)
 ・事業P/Lに対する責任
 ・半期〜年間戦略の策定
 ・1st lineの採用と育成
 ・人員計画の策定と異動による見直し
 ・単一職能(営業やマーケ等)の責任者

3rd line(事業長)
 ・事業P/L、B/S、CFに対する責任
 ・3ヶ年計画の策定
 ・2nd lineの採用と育成
 ・マーケ、セールス、開発、すべての統括責任者

上記の通り、通常であれば管掌範囲が広がり、より多くの人とお金、そして長期的な計画の策定が求められます。
また、与えられた権限が大きいほど、戦略の幅が増え、難易度も増します。

[再掲]このnotedでは主に2nd lineについて書いていきます。

失敗1 大きな石と解像度の話

マネージャーの仕事の大きな部分を占めるのが戦略の立案だと思います。私も事業の立ち上げ経験はありましたが、しっかりした戦略を書いたことなんて無かったので未知の領域でした。
かなり力が入っていたのもありますが当時の自分が最も間違っていたのは”すべてをやろうとしてしまったこと”です。

ここで”スティーブン・R・コヴィー博士の大きな石”について説明します。
・優先度の高いモノ(大きな石)から先に入れる
・その後に小さな石や砂を入れる
・逆に小さな石や砂利からバケツに入れると大きな石が入らない
つまり目の前のことに集中して優先度を間違えてはいけないということです

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戦略を立てて実行する、という中で重要なことは”やらないことを決める”ことです。しかしこれが難しい。当時の私も「茂野さんにとって一番大きな石はなんですか?」と問われても答えることができませんでした。
結局のところ小さな石をどうにかしても大勢に影響はないのです。

大切なのでもう一度。
結局のところ小さな石をどうにかしても大勢に影響はないのです。

しかし戦略を書こうとするとどうしても”バランスの取れた綺麗なもの”を書いてしまいがちです。バランスが良いというのは優先度が決まっていないという状況と等しく、それでは問題の解決には至りません。

もっとも重要で大きな変化の可能性を持っているものに最大限の時間と労力を集中して投資する、これが絶対に必要だと学びました。

ではその石を見つける為に必要な物はなにか?それは”解像度の高さ”です。私の中の解像度の定義とは以下です。

ビジネスのおける解像度とは?
・市場、未顧客の対する理解度
・各種オペレーションにおける理解度
・既存顧客に対する理解度

課題特定がうまくいかない、戦略の大きな石が決まらない、立てた戦略がイマイチ納得感がない、といった場合はこのどれかが欠落しています。
私の周りの優秀な方に共通しているのはとにかくこの解像度が高いこと。
ではどうすればその解像度を高く維持し続けられるのか?
それは現場に出て、お客様に会い、自分でデータに触れることです。
優秀なマーケターはまずお客様に会いたがる、という自分の定説があるのですが、優秀なマネージャーも同様だと思います。

<自問自答タイム>
・市場やまだお客様ではない方の顔や感情想像できますか?
・営業やISがなにをどうしているか、細部まで理解してますか?
・既存のお客様がどう使っていてどんな感情もっているかわかってますか?

一見当たり前のことのように感じますがこれもなかなか実践するのは難しいです。それはそれ以外の仕事が増えていくことと”任せることがマネジメントである”という誤った認識のせいです。
次の章では委任と放置の差について書いていきます。

失敗2 委任と放置の話

2つ目の失敗は委任と放置を勘違いしたことによる戦略の崩壊です。最近ではサーヴァントリーダーシップやティール組織、開発で言えばスクラムのような委任型、ボトムアップ型、権限移譲型が良質なマネジメントとされてきました。そこについて異論はないのですが、私はそこを間違えて失敗しましたので自戒を込めて書いていきます。

委任と放置ってなにが違うの?

委任
事柄の実行や事務的な処理を他の人や機関に任せ、自分に代わってしてもらうこと。

放置
かまわずに、そのままほうっておくこと。

ビジネスに置き換えて説明します。例えば戦略の立案と実行を任せる場合、正しい方法は”戦略のレビューと修正、定期的な確認を求めて伴走する”が正解ですが、私は”完全委任しているので詳細はわかりかねます”でした。
つまり私がしていたのは委任ではなく放置でした。問題は大きく2点あり、1つ目は問題が生じたときのフォローが遅れる、2つ目は設計から入っていないので横展開が難しいことです。

1つ目は例えて言うなら”乗っている車が止まってしまってもなにが原因かわからない”ということです。本来ならばエンプティーランプがついてガソリンが底を尽きそうという状況を確認して止まらないように対処すべきなのですが、放置しているがゆえにそれができないということです。

2つ目は順調に走った車を量産して輸出しようにもその図面が手元になく、わざわざ生産している現地まで図面を取りに行き、製造工程を見せてもらい、そして量産の計画を立ててから輸出する。そんなことをしている間に世界には車が溢れています

マネージャー仕事は任せることではなく組織の成果に責任を持つこと。
任せることはただのHowですが、責任を持つということはそのすべてを自分の目で見て、触って、安全性を確認しているということです。

<自問自答タイム>
・あなたがしているその行為は委任?放置?
・あなたがしている行為は過干渉?安全確認?
・仮に任せているメンバーやマネージャーが急病で倒れても推進できる?

また、いきなり委任は出来ません。
指示→促進→支援→委任というように段階を踏まなければなりません。
どうやって進める(見極める)か?そのために私がよく使っているフレームワークを紹介します。
シチューエーショナルリーダーシップⅡ(通称SLⅡ)

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この手法のポイントは”人に対して行うのではなく、業務に対して行う”という部分です。
これもよく間違いがちですがその人が優秀なのはその業務についてであって、新しい仕事につけばそれは初心者と同じです。
例えば私はいまエンジニアリングを勉強しているのですが社内の先生からは明確な”指示”が飛んできます。それはそうですよね、私はいまフローチャートやその他のものを見ても人でコードは書けないのですから。

失敗3 説明責任の話

まずは説明責任(Accountability)について説明します。
簡単に言うと”経緯と結果はちゃんと説明しようね”という意味です。

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私はここも2つの失敗をしました。1つ目は経営層に対する説明責任、2つ目はメンバーに対する説明責任をおろそかにしたことです。
それによって組織としての機動性を毀損、チーム内の不和を助長、結果として成果につながらない、大幅な未達を経験しました。

1つ目の経営層に対する説明責任ですが、ここは自分の認識が圧倒的に甘かったです。「まだ大丈夫だろう」「わかってくれているだろう」という思い込みが色々なものを壊しました。逆に、私の周りの優秀な部門長、事業長はもれなくここがきっちりとしており、それによって支援を引き出す、足りないものを確保する、時間を捻出するということで長けています。

経営層に対する説明必須項目
・現状を事実ベースで説明する(詳細なデータがあるもの)
・進捗と成果
・成果と目標にギャップがある場合はその原因と打ち手
・成果と目標にギャップがない場合は可能な限りのネガティブな情報
・必要なものを要望する

ポイントは詳細なデータとネガティブ報告です。経営報告ですから「わかりません」は通用しません。だと思います、もダメです。自分自身が信じられる事実を持っていきましょう。
また、本当に経営層が欲しがる情報はネガティブな情報です。ネガティブな状況は隠してしまいがちですが、それが最大の誤りです。ネガティブなことほど先に報告し、支援を要請しましょう。また達成ペースでもなにか不具合はないのか、想定と違うことはないのか、ということを報告します。数字以外のネガティブな情報ほど意識しないと見つからないという組織の構造上の問題があります。これを見つけるのもマネージャーの仕事です。

2つ目はメンバーへの説明責任です。これを蔑ろにするとチームから信頼が失われていきます。どうしても戦術のHowだけを伝えたくなりますが、重要なのはその経緯と意図を理解してもらうことです。そうすることによって本来の想定と違うことが起きたとき、見落としがあった場合にメンバーが拾い上げて教えてくれますし、場合によって修正案までもらうことができます。
ですからここは時間をかけて丁寧に行います。

たまに「うちのメンバーは能動的な動きが足りない」というマネージャーがいますが、それはその説明責任を果たしていない可能性があります。

メンバーに対する説明必須項目
・戦略の背景と意図
・なぜいまこれが必要なのか
・これを実行した先になにがあるのか
・チームのビジョンとの相関性
・期待する成果と行動

とくに戦略の背景と意図は「わかっているだろう」で終わってしまいがち。
あらためてご自身の資料を見直してみてください。

<自問自答タイム>
・経営層に対して説明責任果たしてますか?
・メンバーに対して説明責任果たしてますか?
・ネガティブな情報をあなたは持っていますか?
・わかってくれているはず、と思っていませんか?

おまけ:先日の教えを共有します

Aさん
「数字の管掌範囲が大きくなるだけならそれは大マネージャー。組織長ではない。ビジョンを描いてそれを実現することが重要。」
「もうね、誰も褒めてなんてくれませんよw だから自分でこうなったらいいなぁって絵を書いて、それが実現できたときに自分で自分を褒めるんです」

Bさん
「予算の最後の調整は人の顔を見て決める。もう一歩いけるかいけないか。数字で計算をしていくけど最後は人だよ。組織は人で出来ている。」

Cさん
「組織を立て直すときは一回数字は見ないですね。それより話を聞きます。全員に。なにが見えているのか、どう感じているのか。そこからです。」

最後に

長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。
あまりまとまりがない中身になってしまいましたが、よくあるマネジメント系の本や資料にはない内容になったのではないかなと思います。
私自身がまだまだなのですが整理できたので明日からまたがんばります。

メンバー(非マネジメント層)の方へ
ボスは自分がマネジメントする対象です。自分自身で良い環境を作っていってください。そのために彼らがなにを考えているのか、それを知ることが大切です。そのヒントになれば幸いです。

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