【合格体験記】東北大学大学院医学系研究科保健学専攻

はじめに

 はじめまして!私は、東北大学大学院・医学系研究科・保健学専攻に所属しています。他大学を卒業後、一度社会人を経験してから大学院に進学しました。
 大学院進学を迷っている方、他大学・社会人から東北大学大学院への進学を考えている方などの参考になればと思います!

大学院進学を決めるまで

 冒頭でも触れましたが、私は他大学出身で、一度就職後、大学院に進学しました。大学では今と同様に保健学専攻に所属し、臨床検査技師国家資格を取得後、病院で臨床検査技師として勤務していました。

 少し遡りますが、私は大学4年生の4月まで自大学の大学院に進学する気満々でした。より深い医療の知識を学んでみたいという思いがあり、大学院での研究活動にも関心があったためです。それに反して、一度就職した理由は主に三つあります。一つ目は、卒業研究を行う上で大学院でもこの研究室で学びたいと思えなかったからです。経験できる手法や実験が少ないと感じており、大学院での研究は卒業研究の延長線上になってしまう気がしていました。二つ目は、当時、地元の大学病院で臨床検査技師として経験を積むことが目標だった私にとって、早く就職した方がその分多くの経験を積むことができると考えたからです。そして、三つ目は幸いにも第一志望の大学病院から内定をいただけたからです。そこで、自大学の大学院入試には合格したものの、就職することを選びました。それでも、就職が決まった後も卒業まで、大学院に進学しなくて本当によかったのか、就職してしまってよかったのかという気持ちが心の奥底にあり続けていました。
 就職後は病院で働く中で、今まで学生としてどれだけ学ぶのに恵まれた環境にいたかということを痛感しました。もちろん、職場にもよることだと思いますが、仕事に必要な知識・スキルは身につくものの、働きながら自分の興味のあることを心ゆくまで学べる環境と時間をつくるのは社会人には難しいことだと感じました。大学院進学を完全に諦めきれていなかったことと、もっと勉強したい、研究活動に没頭してみたいという気持ちから大学院進学を決意し、退職後、大学院入試に臨むことになりました。

合格までのスケジュール

研究室選び

 私は、研究室を選ぶ過程で東北大学の研究室を3つ、他大学の研究室を3つの計6つの研究室を訪問しました。東北大学を候補に挙げたのは、高校生のときに目指していた大学だったからです。私の研究室を決定する上での軸は、自分の好きな病理学が学べること、学部生のときには経験できなかった生化学的な研究手法を用いていること、そして研究室の雰囲気の良さでした。私が現在所属している研究室は上記の軸の条件を満たしていたとともに、特に研究室の方々の優しい人柄が決定打となりました。先生に大学院生、卒業生の連絡先をお聞きして、詳しく研究室や就活についてのお話を伺ったのですが、どの方も親身になって教えてくださいました。自分のやりたい研究・研究手法が可能で、かつ、この優しい雰囲気の研究室でなら自分の理想とする大学院生活を送ることができると感じ、今の研究室を選びました。
 また、研究室を訪問した中で私が感じた東北大学の特徴は、どの研究室も外部進学者に対してとてもオープンな雰囲気だったことです。最初から研究室を一つに絞らずに、いくつか見学してみるのが個人的におすすめです。

試験内容

1.書類等審査

1)志望の動機・理由と抱負について(1000字)
 研究室は3つまで希望することができ、それぞれに志望の動機・理由と抱負についての書類を提出する必要がありました。私は、第二希望まで研究室を希望したので、二つの研究室それぞれに合わせた内容の書類を作成しました。そのためには、それぞれの研究室の研究内容や特色を調べて、理解しておくことが必要だと思います。なぜ大学院に進学したいのか、なぜその研究室なのか、などを自分の言葉で書き、さらに熱意が伝わる文章を入れるとなお良いと思います。

2)英語のスコアシート
 私はTOEICのスコアを提出しました。真偽のほどは定かではありませんが、〇点とらないと落ちる…ということはないと聞きました。スコアは2年以内有効なので、早めに対策をして受験しておくと良いと思います。他にTOEFL、IELTS、Duolingo English Testのスコアでも良いようです。詳しくは最新の募集要項を確認してみてください!

2.筆記試験(小論文)

 難しい知識を問われるというよりも、自分の考えをしっかりもっているか、それを論理的に述べることができるかが重要視されていると感じました。令和5年度の問題から傾向が変わったようですが、さらに上記の力が問われるようなテーマが出題されるようになったと感じています。問題数は2問で、それぞれ400字で書くという問題でした。

試験対策

 2023年の4~5月は働きながらの対策、6~8月に本格的に院試対策に専念しました。他の受験生の方よりも比較的短い期間での対策かと思いますので、特にTOEICに関してはもう少し早めに対策することをお勧めします。

1.TOEIC対策

 社会人として働きながら勉強していたときは、通勤時間やお昼休みにリスニング、休日に文法・長文対策をしていました。TOEICは継続的に勉強し続けることが有効だと考えていたので、空いた時間に少しでも進めるという意識で取り組みました。

2.小論文対策

 頻出テーマで実際に小論文を書く練習を何度もしました。書く上で必要な知識は主に参考書やネットの情報を通して取り入れ、どんなテーマが出題されても対応できるように対策しました。小論文対策で必要なのは、短時間で文章を書く力だけでなく、自分の知識・話の引き出しの多さだと思います。最近、医療の分野で話題になっていることなど、自発的に情報を取り入れるようにしてみると良いと思います。過去問については、教務課で1年分公開しているのでそちらを確認してみてください。また、研究室訪問などで積極的に大学院生に聞いてみると良いと思います。

3.面接対策

 出願後、面接をするとの連絡を受けたため、準備期間は一週間ほどでした。志望動機や卒業研究の内容についてなど、述べられるように準備しました。

4.研究室訪問

 この研究室訪問での振る舞いが、個人的に最も重要であると思います。研究室訪問では自分が研究室をみるだけでなく、研究室側もどんな学生が来るのか、熱意をどれほどもっているのかをみています。試験ほど身構える必要はないと思いますが、なぜ訪問しようと思ったのか、大学院で何をやりたいのか、自分の考えを話せるように準備しておくと良いと思います。

最後に

 私は、自大学の院試、社会人を経験してからの進学でしたが、今の進路に後悔していません。日々、研究室で学ぶ中で、自大学、職場では経験できなかったはずの研究手法や実験ができて、新たな発見や学びが多く、今の恵まれた環境を強く実感しています。他大学からの受験者の不安の一つに内部生に比べて不利なのではないかということが挙げられると思いますが、実際に院試を受けた私としては、そんなことはないと思います。確かに、情報の得やすさは内部生に劣るかもしれませんが、研究室訪問などで積極的に自分から情報を得る努力をすれば大丈夫です。社会人も、私は1年未満での退職でしたが、何年経っていても進学するのに遅すぎるということはないかと思います。実際、社会人大学生も多くいます。私も、働き続けるのか、大学院進学かで葛藤した時期もありましたが、やりたいことをやらないで後悔したくないと思い、大学院進学に踏み切りました。

 少しでも大学院進学を迷っている方の背中を押すことができれば幸いです。皆さんが後悔のない進路選択ができることを祈っています。

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