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Insomnia(いつか来る朝)


時々考えてしまう夜がある。
頭から離れない考えは、「私なんかが彼らを好きでいていいのかな」ということ。

考えても仕方のないことだし、誰かを好きになることに資格はいらない。
もしも私が同じことを誰かに言われたとしたら、
「当たり前だよ」「もちろんだよ」「誰かに承認してもらう必要はないよ」
そう伝えると思うし、自分でもそれは頭で理解している。

それでも、どうしても自分自身に対してはそう言ってあげることができない。

私なんか、という気持ちが生まれるのは、
それだけ私が好きなアイドルが素晴らしい人たちだからだ。

学生時代を犠牲にして辛い練習生期間を耐え、
大人と世間による厳しい審査を勝ち抜き、
デビューした後も分刻みのスケジュールで絶え間なく努力してる。
仲間と支え合い、周囲を大事にし、感謝と初心を忘れず、
自分の好きなことで身を立てるだけでなく、
得たものを世界をより良くする為に使っている。

対して。

やろうと決めていたことが何一つできずに夜を迎える時、
寝付けなくてお酒の力を借り二日酔いで目覚める時、
スマホをいじりすぎて朝方眠りにつき行きたかった店のランチタイムを逃す時、
そんな時は特に「私のようなダメ人間が」
彼らのように素晴らしい人達を、
好きでいていいのだろうか(その輝きを享受する資格があるのだろうか)と思ってしまう。

この世の90%の不幸は比較から生まれる、
というのは自分がこれまで生きてきた中で
なんとなく理解した世界の仕組みの一つなのだけど、
既に数えきれないほどの幸せをくれている彼らと
自分を比べてわざわざ不幸を生み出す必要はないとも思う。

だけど、私はこの「私なんかが」という感情が、
そう悪いことだと実は思っていなくて、
それはこの「私なんかが」という感情があるからこそ自分から逃げずにすんでいるからだ。

それこそ私のような人間は楽する方が好きで、逃げることが得意。

楽な方へ楽な方へ行きたがるし、
辛い状況からは出来る限り逃げたい。
嫌いな自分と向き合わず、缶を開けて
狭い箱に映る好きなアイドルだけ見ていたい。

そんなふうに輝く舞台の上だけ見つめ続けていれば、
自分自身にスポットライトをあてなくてもすむから。

それでも、好きなアイドルを見つめ続け好きでい続けるためには、
同時に自分自身と向き合い、自分を好きになることでしか
私の場合、自分自身に「好きでいいよ」という承認を出してあげることができない。

アイドルないし自分の生活と地続きの接点がない人物を推すことは、
時たま「現実逃避」と称されることがあるけれど、
誰かを好きになれば結局自分自身と向き合うことになる。

そのうえで、好きなアイドルを好きでいるために、
常に「ダメな自分」をエレベートしてきたように思う。
(エレベートの使い方間違ってるかもしれないけどなんとなくこの表現が一番しっくり来る)

不登校から復帰して進学を決めたのはPerfumeに出会ったからだし、
フリーターから正社員になって上京したのも前の推しの存在が後押ししてくれたし、
思い返せば自分の人生は常に推しの存在によって好転していて、
その根底には好きなアイドルを好きでい続けるために、
「ダメな自分」を少しでも好きになりたいという想いがあった。

JYP勤続12年のバンチャンさんに対して、
私が12年続けてることなんて本当にアイドルを好きなことしかなくて
人生の半分以上オタクをやってきて、
アイドルによって人生を変えられてきて、
普通じゃないかもしれないけれど、自分にとってこれが
一つの生き方になってしまっているのだと思う。

なので、Stray Kidsという人生最後で最高の推しに出会ってしまった以上、
今の自分というか、Stray Kidsと出会う前の自分でい続けることは私にとっては不可能で
半ば強制的に自分と向き合い、自分を変えるために挑戦し続けることが不可避だった。
その過程で、好きなアイドルと共に、自分のことも少しだけ好きになれたら。

それがきっと、Stray Kidsというアイドルと出会った1つの理由になるのだと思う。

じゃあ実際これからどんな自分になりたいのかというと、
私は「Insomnia」みたいな人になりたい。

(RACHA LOGのおかげで最近スキズのあらゆる3人組の組み合わせに
可能性を感じてしまうのだけどやっぱりアリランスンってかなり”イイ”なってMVを久しぶりに見返して思いました。まぁスキズに良くない組み合わせなどありませんが…RACHA LOG一生やらん?)

スキズの曲はどれも好きで大切だけれど、
「特別」という観点から見ると
タイトルにも選んだ「Insomnia」は自分にとってとても特別な曲の1つで、

自分がそのものずばり不眠症であることも大きいけれど、
この曲を聴いた時に一番大きく感じたのが、
「この曲を作った/歌っている人達は自分が受けた痛みを誰かへの優しさとして差し出せる人達なんだ」と感じたから。

眠れない苦しさや頭を離れない不安、
みんなが自然にできていることができない
孤独に飲み込まれそうな感覚、
布団しか世界から自分を守ってくれないような繰り返す自己否定の夜、
それでも容赦なくやってくる朝。

I can't sleep

ラスサビ前のバンチャンさんの暗闇に向かって叫ぶような切実な歌声を聴くといつも心が引き絞られる。

けれど、曲が終わる前のI can't sleepは少しニュアンスが違っていて、
自分の弱さを吐露することができてどこかほっとしてるみたいな、
どうしたってまたやってくる新しい一日に
どうにか向かっていく希望の気配が漂っている気がする。
眠れない夜、この2つのI can't sleepを聴くと、
いつも勇気が出るし、ありきたりな表現だけれど、
ああ、ひとりじゃないんだなと感じる。


ひとりで抱いた闇を誰かに寄り添う光に変えられる人達が、
私の好きなアイドルなんだと感じて誇らしく思うとともに、
自分もそういう人になりたいと願ってしまう。

昔から何か辛いことがあった時は、自分の経験が
いつか誰かの慰めになるかもしれないと思ったり、
同じような思いをする人が出ないような礎にしたい…っていうと
凄い偉そうだけどシンプルにこんダメな人間でも
なんとか生きてるから大丈夫だよ~!って思ってほしいと考えて
乗り切ってきたところがあるけれど
実際にそれができていたかというと…なので、
今とても大切で愛してて大好きな彼等がそうしているように、
自分もそれが目に見える形でできる人になりたい。

多分それが一番身近で継続してできるのは書くことなので
ここでもここでなくてもアイドルの好きなところとか、
アイドルを好きでいることについて言語化し続けたいと思う。

気づけばこうしてブログなりnoteなりで文章を書くようになってから7年経つ。
人間でいえば、ぴかぴかの1年生。
変化し続け魅力を増していく彼らの傍にSTAYできるよう、
まだまだこれから、眠れない夜と共に頑張らないとと思います(感想文?)

そしていつか来る朝に、「好きな人達を好きでいていいよ」と私から私へ言ってあげたい。


#眠れない夜に

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