噂が通る

文目のついた嘘がアスファルトにはじかれた水滴のように光ってる。文目は気づいていない。自分のついたのが嘘であることさえ。夜気に漂う霧のように街を包む噂は、恋心のようにエゴイスティックに一人の男の胸をとらえ、失意に陥らせる。人の噂も何日なんて、ネットに掛かれば噂のようなものと男は嘆き、責任はとってもらうと、そっとリングを差し出した。

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