見出し画像

ファミリーバンクの初期デザイン構想(UI/UX編)

2022年2月にファミリーバンクはリリースされました。リリースから1年以上経ち、機能もユーザー数も徐々に増えてきました。
ここで一度立ち止まり、デザイナーとして最初にどういう思考で作ったのか、備忘録的にまとめておこうと思います。

▼ ブランドデザイン編はこちらから

ファミリーバンクとは

ファミリーバンクとは、カップルや夫婦それぞれの口座を1つの口座にまとめ、収入や家賃の支払いなど同棲生活の収支を可視化するサービスです。
お金を最初の切り口として、様々なソリューションで家族の暮らしを豊かにしていくことを目指しています。


3つのポイント

ファミリーバンクをデザインしていく上で、以下3つのポイントを重視しながら全体の設計を行なっていきました。各項目ごとに記載していきたいと思います。

① いかにレクチャーするか

ファミリーバンクを利用すると、口座を一つにまとめることで同棲生活におけるお金の流れを、以下のように整理することができます。

1つの口座、つまり家族口座で一元管理して、お互いが同時に閲覧できる状況を作ることにより、負担額や使った金額が明確になり支出の不平等を是正することができます。

家族口座で運用するということは、既に取り入れている夫婦もありますが、そういう発想が持てず取り入れられてない夫婦がほとんどです。そういう家庭に対して、このアプリを通じていかに理解を促し利便性を訴求するのかというところが、デザインする上での一つ目のポイントでした。

ホーム画面の画面構成

まず、ホーム画面の画面構成を検討しました。
家族口座での運用における最も大事なユーザー体験は、「家族口座への入金」「家族口座の閲覧」「家族口座からの支払」の3つです。究極、この3つによって家族口座を運用することは可能です。

そのためその3つのフローを、常にユーザーの一番目に入る場所に配置しました。3つのステップ上の形状をとることにより、アフォーダンスがあり行動の枠組みを定めるデザインを構築しました。


セットアップフローの構築

全体の大枠のフローとしては上記ですが、実際に家族口座を回していく上では、より細分化されたタスクをこなして行かないと運用することはできません。全体からカスケードダウンしたそれらを「セットアップ」という形でユーザーにTO DO形式で達成させていくフローを以下のような形で設計しました。

「パートナーの招待」「家族口座の設定」「入金金額の設定」など、最低限のタスクをリストアップすることにより、これらを一つずつ達成していけば自然と家族口座での運用ができていく体験を構築しました。


② いかにWOWポイントまで到達させるか

ファミリーバンク内で運用を回していくためには、上記で説明した通りいくつかのステップを進んでいく必要があります。
ただ全体を達成するまでユーザーにとってただ面倒な作業かというとそうではなく、いつくかの点で嬉しいポイント(=WOWポイント)が存在します。

いかにそこまでスムーズにユーザーを連れていき、WOWという感情を増幅させられるかがポイントになります。

WOWポイントでの演出

上記フローに記載の通り、WOWポイントとしては、『家族口座を設定してそれを双方が閲覧できる状態になった時』や、『家族口座を発行し終わった時』などがあります。

そのポイントにおいて、アニメーションやイラストなどでしっかり盛りげることにより、ユーザーの感情を増幅させることを設計しています。

③ いかにつまづきを無くすか

上記のような嬉しいポイントがある一方、運用までのステップを進める上でつまづいてしまう可能性があるポイントがあります。
そこにおいて、いかにつまづかせずに次のポイントまでユーザーを進ませるかがもう一つの検討すべき点でした。

家族口座入金時のつまづき

例えば、一つのつまづきポイントとして、家族口座を設定+閲覧できる状態にできた後に、いくら入金すればいいのかわからないという課題があります。

せっかく家族口座を設定できて、その口座の中身を夫婦双方が見れるようになったとしても、そこに入金していかなければ運用することはできません。しかし、運用前は双方がいくらづつ入金すべきか不透明なのではと思います。

そのため、その金額を設定するためのサポートを以下のように設計しました。現在住んでいる家の家賃から、入金金額合計の目安を提示し、それをベースに負担比率をスライダー形式で決めることができます。それによって、各々が毎月入金すべき金額を算出することが可能になります。

まとめ

以上、3つのデザイン上重視するポイントを軸に、初期のデザインの思想を改めて整理しました。ここから1年以上経ち、ユーザーの反応を取り入れながら機能追加などをしていった結果、表面上は添付した画面構成から変わっていったものも多くあります。しかし根本的なところでは、初回時に設計した上記3つのポイントはブレずに続けられているかなと思っています。
今後も引き続き、様々なアプローチでファミリーバンクの体験向上を行い、家族の暮らしを豊かにしていければと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?