綿毛のように未来に向かって飛び立とう
8年前、どんな景色を見ていたのだろう
最寄駅の二駅前の駅名がアナウンスが聞こえる。睡魔に負けて意識を失っていた僕はゆっくりと目を開く。
ぼやけた視界に振袖で着飾った女性たちの姿が映った。いつもより少し気持ちが高揚している彼女たちの笑い声が車内に響く。
「あ、今日って成人式か。あれからもう8年もたったのか。」
振袖の女性たちを見て、瞬時にそう思う程度には僕もおじさんになったのだろう。まだまだボーッとする頭でそんなことを考えつつ改札を出た。
「8年前って何を考えていたんだろうか。」
ふと、そんな思いが頭をよぎった。おぼろげな記憶を辿りながら、自転車のペダルに足をかけた。
綿毛に重なる自分の姿
交差点の赤色に変わった信号の前で自転車から降りる。青に変わるタイミングを確認するためにすっと信号の方に視線を上げた。
青く澄んだ冬の空を飛んできた綿毛が視界に入った。なんの植物かわからない綿毛は僕のコートの袖の上にそっと舞い降りた。真冬の強い風に吹かれてどこからか飛んできたんだろう。
「8年前も今も僕は綿毛みたいなものかもしれないな」
袖についた綿毛をそっと手で掴みながらそう思った。また吹き荒れる風の波に乗れるように、そっと人差し指と親指を離す。
晴れた冬の青空にまた飛んでいってしまった。どこで根を張るのかもわからないけれど、また飛んでいった。
8年前も今も、行きつきたいところは同じ
綿毛はどこかへ飛んで行き、根を張り、そしてまた芽吹く。それが綿毛の「目指すところ」だし、綿毛の「在り方」だ。
どんな道のりで、どこにたどり着くかわからない。それでも綿毛は風に乗って飛んでいく。
僕も綿毛と同じように、強い風に流されているうちに遠回りもした。
行きたいところにたどり着けなくてうまく根を張れないこともあった。
でも、行きつきたいところも、ありたい姿も8年前とほとんど変わっていない。
「みんなで未来を素敵にしたい」
そう、たったそれだけだ。
「目指すところ」「在り方」を指針に、遥か未来を目指そう
生きているといろんなことがあって、すべてがうまくいくことなんてない。
残念ながら、生きていると思ったように行かないことだらけだ。
「みんなで未来を素敵にしたい」
そんな思いは8年前と変わっていない。でも、生きていると遠回りを強いられることだってある。もちろん足踏みして進めないことだってある。
だからこそ、「目指すところ」と「在り方」はしっかり胸に刻むんだ。
もし困ったら、「目指すところ」と「在り方」に戻ってみよう。
これからの人生であなたが遠回りや足踏みをして途方にくれることもあるだろう。そんな時に、この2つのことはきっとあなたの指針になってくれる。
「目指すところ」と「在り方」を胸に遥か未来に向かって飛び立とう。冬の強い風の中で舞う綿毛のように。
20年の節目を迎えたあなたも、8年前を振り返ってみた僕も。
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