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バニシング・ポイント

バニシング・ポイント - リチャード・C・サラフィアン 1971年公開

 元レーサーの主人公コワルスキーは陸走車を翌日の午後3時までにサンフランシスコに到着させる賭けをして真夜中のデンバーを出発。覚せい剤をあおってフルスピードで目的地を目指すが暴走車として警察に追われることになるというカーアクションロードムービー。
 
 破滅に向かうのはアメリカンニューシネマのお家芸ではあるが、その中でもここまで直線的な破滅志向はそうそうないのではなかろうか。ストーリーは至ってシンプルで、端的に言えば何はともあれアクセルを踏み続ける男の話。大掛かりな検問を引く警察と、ベトナム戦争の退役軍人でもあるコワルスキーの暴走を支持し始める民衆という対立構造も展開されるが、これもアメリカンニューシネマとしては分かりやすすぎる程明瞭な構図だろう。とにかく全てに無駄がなくて気持ちがいい。タイトルのバニシング・ポイントは直訳で「消失点」という意味。スピード感と自己破壊のイメージが簡潔に言い表されていてかっこいい。
 
 タランティーノの「デスプルーフ」の中でも登場人物が本作を熱く語り、コワルスキーの運転する車であるダッジチャレンジャーを乗り回している。オマージュしたくなる気持ちがすごくわかる名作。

 追跡してきた警察車が転倒すると、いちいち車を止めてドライバーの安否を確認するコワルスキーの姿は印象的だった。たしかにそういう繊細さがなければ破滅的な逃避などしないかもしれない。

#映画感想文 #ネタバレ #バニシング・ポイント

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