震えるパンツ
も、もし、もし、あなた。
あなたの家の中、全て見たことがありますか。
虫以外は当たり前だ?なるほど。
次に、その家で新しい発見はあると思いますか。
無い。そう仰る。
それは何故でしょうか。
さっき答えた。”全て見たから”、ですか。
では、あなたはふ、「震えるパンツ」を見たことがおありでしょうか?
ええ、文字通り震えるパンツですよ、ど、どうですか。
無い。さきほどからあなたの回答はひ、一言ですねぇ。
視点を変えましょうか。あなたの家でふ、震える物は?
そう、洗濯機。パンツは勿論のこと、毎日見ているかとぞ、存じます。
"震える"と"パンツ”を当然の如くみ、見たことがある。
なぜ「震えるパンツ」は見たことがな、ないんでしょうね。
それはあなたが社会常識のり、流行語にしか興味がないからです。
い、言い換えれば社会で使わない物をいちいち意識的に拾い上げないからですよ。
認識する情報を常識のカタログでもって無駄を省き、お、大いなる社会的取捨選択をした結果、その無駄とやらは脳の容量を食わすに済む。まぁ、楽ちんなこと。
あらあら、そう感情的に、な、ならないで。
私がい、言いたいのはね、"どんなに見慣れた日常の中にも新しい発見が存在する"って事ですよ。
あなた最近、毎日がつまらないなぁとか、大抵この世の物が想像つくだとか、た、ため息ついてらっしゃいませんか。
そんな辛そうなアナタに私はむ、胸を痛めたので、今こうして話しかけているンです。
慣れとは恐ろしいモンですなァ。きっとこうだろうと視野を狭めてしまうのだから。いや、そ、想像すらせず流してしまう。
ん、なァに。あなたの回りには、し、知れず潜んでいる”新しいモノ”がたくさんあるンです。むしろ喜ばしい事実じゃないか!
私は羨ましい。実にあなた達が羨ましいンです。お、おめでとう。
ふ、ふふ、やっと頬が緩みましたね。
え、わ、私?
アハァ、こ、これは失礼。
私は洗濯機の上で揺れるあなたのパンツです。
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