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【☆】2018年5月の新潟女児殺害事件が無ければ、警察に保護されることも、閉鎖病棟に入れられることも無かった。

 2018年5月、新潟県で女児殺人事件が起きた。統合失調症の陽性期真っただ中だった私は、この事件は国か大きな宗教団体が、私にメッセージを送るために作り上げた事件だと本気で思っていた。

 当時の私は、全てが暗号に見えていた。私は「王になる、というかなってしまう。選ばれたのだ」と本気で信じ込んでいた。まず、新潟という単語が暗号に見えた。

 新潟→新しい型。という風に。私を中心とした新しい統治国家の型が作られると思い込んでしまった。

 少女が通っていた学校は小針小学校だったことを鮮明に覚えている。これも、暗号に見えた。

 小針小→小さい金曜日の十時にshow。金曜日の午前十時にここに来い。そしたら見せてあげるから。このような暗号に見えた。行動に移してしまうような危険な暗号だった。

 当時、京都でバイトしていて、バイト先と新潟女児殺害事件の現場との地理が一致していた。小針小はバイト先の近くにあったホテルと合致した。当時、キリンビールが「本麒麟」という新作のビールを販売していて、CMの最後に「本気です!」と言うセリフも私を混乱させた。「本気で私を中心とした国家を作り上げようとしている。なんとしてでもホテルに行かなければならない」と感じた。「王になる、ということから愛子様と結婚計画でも創られているのだ」とも思っていた。テレビの料理番組で「結婚したらそんな風に冗談を言い合う家庭になるんやね」とか、とにかく、一人ではどうしようもなかった。同じ学科の友達も、なぜか私を避け始めた。それを私は「私を特別扱いさせているために孤独に、いや、孤高にさせているのだ。《《自分一人でなんとか解決しなければいけない》》」と思い込んだ。

 そして、金曜日を待つことなく、水曜日、身分証明書やスマートフォン、パソコン、ネット上のアカウントなどをすべて破壊、消去し夜中、ホテルへと向かった。途中まで市営地下鉄でいき、「京都河原町で警察が囲っている」という通りすがりの大学生の声を聞き取り、烏丸御池から徒歩で歩いていった。

 ホテルに着いた。管理人に当然のように「愛子様はいますか?」ときいた。「いません」とは言わずに「本名を言ってください」と言われた。『愛子内親王』という本名を知らずにどうすればいいのかわからなくなった。その後、安倍晋三元首相やドナルド・トランプ元大統領など世界の要人がいるか訊き続けた。「いない。帰ろう」と思ったときに、背後に数人の影がいることがわかった。京都府警察の人々だった。その後、保護される形で、「念のため」と言われ手錠もかけられ、パトカーで拘置所へ連れていかれた。その後、閉鎖病棟の隔離室に入れられ、説明もないまま一ヶ月が過ぎ、『突発性統合失調症』という診断名が付いた。「一生飲む薬だと思ってください」とクエチアピンを渡され、一生精神科に通う人生へと変わった。

 それから4年。小林容疑者は無期懲役が言い渡されたという。そのニュースだけでも、当時のことを思い出し恐ろしい思いがするが、別にこの事件は何か大きな組織が計画したわけでもなんでもないことを、今になって思う。彼が事件を起こさなければ、私は警察に連行されることもなく、精神科には通っていたものの入院の措置までは至らなかった可能性を考えれば、偶然とはいえ、こんな事件を起こしてくれなければよかったのに、と当時を思い出す。まだ病気と闘っている。 

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