無過失でも賠償した方が得なことがある

キャッシュカード偽造事件では、銀行側の対応の頑なさに驚いた。
法律論では、無過失だから、賠償義務なしという理屈になるんだが、無過失でも、賠償した方が得なことがある。

銀行預金制度は、長年かかって成立した、「銀行なら預けて安心」という無根拠な気分に依存しているんで、不安に火がつくと、取り付け騒ぎになる。

取り付け騒ぎ - Wikipedia

銀行側は、一連のATM不正引き出しの被害を賠償して、紛争を決着させるべきだった。ATMをICカード対応にする費用は、ATM不正引き出しの損賠金額よりも、ずっと高くついただろう。

ここで、いきなり医療関係に話を持っていくのだが、60年代に発生したワクチン薬害訴訟は、ワクチンを製造した製薬会社や、ワクチンを認可して接種をさせた国に過失あるなしが争点となり、いつまでも決着がつかない泥仕合となった。

副反応 - Wikipedia

既存の法律で裁く限り、製薬会社にも国にも、過失がなければ賠償義務はないのだが、公衆衛生向上のためには、ワクチン接種率を上げないといけない。そのためには、接種される人々を安心させないといけない。

国は、特別立法で、ワクチン薬害の無過失賠償をしたらよかったのだ。

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