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リップアートで使用する麻酔の使い分けと施術のポイントについて

初めまして。歯科医師の井上 佐保里です。
私は現在、横浜市内の歯科医院にてリップアートを専門に施術を行なっています。

2023年2月頃から施術を始め、1年3ヶ月ほどで累計350名ほどのお客様にご来院いただくことができました。現在産休を頂戴しているのですが、350名のお客様にご来院いただいて得た知見をまとめたいと思い、noteを始めました。

今回は私がリップアートで使用している表面麻酔やブロック麻酔(浸潤麻酔)について記載したいと思います。

・口腔内で使用する表面麻酔
①プロネスパスタアロマ
有効成分:アミノ安息香酸エチル 10g
                テトラカイン塩酸塩 1g
                ジブカイン塩酸塩 1g
                ホモスルファミン 1g
麻酔作用:本薬剤の臨床試験による鎮痛抑制効果の持続時間は9分49秒であった。
性状:軟膏

②キシロカインゼリー 2%
有効成分:リドカイン塩酸塩 20mg
性状:ゼリー
作用機序:リドカイン塩酸塩は神経膜のナトリウムチャネルをブロックし、神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制し、知覚神経及び運動神経を遮断する局所麻酔薬である。

・唇に使用する表面麻酔(一次麻酔、二次麻酔)
①プロネスパスタアロマ(一次麻酔)
同上

②TKTX(一次麻酔)
有効成分:リドカイン塩酸塩
     プリロカイン
     エピネフリン
性状:クリーム

③ブルージェル(二次麻酔)
有効成分:リドカイン塩酸塩
     テトラカイン
     エピネフリン
性状:ジェル

プロネスパスタアロマは軟膏状なので、乾燥が強いお客様に保湿も兼ねて一次麻酔として使用しています。軟膏状で唇に残りやすい性質のため、しっかりと拭き取らないとデザインがよれてしまうことがあります。リップライン付近に塗布する際は注意が必要です。また、二次麻酔として使用すると腫れが強く出てしまうため、使用しません。痛み軽減の効果はTKTXの方が強いので、唇の状態が良い場合の一次麻酔はTKTXを選択します。
二次麻酔としてはTKTX・ブルージェルを使用しています。TKTXの方がエピネフリン含有量がやや多いため、皮膚が薄く血管収縮によって色の判定に影響が出そうな症例においてはブルージェルを使用することが多いです。

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