やってみてよかった情報8「選択式漢字テスト」
「読めるけど書けない」Cさんへの支援として試みた方法です(⌒▽⌒)
その後、たくさんのケースで活用しています!
2010年くらいの話です。
Cさんは当時4年生。
読書大好き、おしゃべり大好きで、頭の回転のとても速い子でした。
授業中の発言も秀逸で、特に国語や道徳の時間は大活躍(⌒▽⌒)
ただ、彼女は漢字が苦手。
いや、苦手というより全拒否でしたね(^_^;)
・漢字練習はしてこない
・漢字テストはやらない
・テストへの回答は全てひらがな
「私、漢字はダメだから」
と、シャッターがガシャンと降りていました。
彼女は転校生で、そこまでの3年間に何があったのかは
わかりませんでしたが、
賢くプライドも高い彼女にとって、
「触りたくない」と思うほどの体験が重なっていたんだろうということは
想像できました。
「漢字はダメ」と言いながら、
彼女は習っていない漢字もすらすら読みます。
図書館が大好きで、漢字テストの時間は教室を抜け出して
図書館で本を読んでいるような子でした。
当時の担任から相談があったのは、
・Cさんの漢字テストをどうしたらいいのか
でした。
担任は彼女の高い力を信じていて、
「きっと漢字も書けるようになるはず」という思いだったのかなと。
今まで「漢字が苦手」という子達を担任してきて、
その際にやってきた色々な試みが彼女には通じなくて、
「どうしたらいいのかわからない」状態だったのかと思います。
私が提案したのは、「漢字テストを選択式にする」ことでした。
普通の漢字テスト
書けない彼女は取り組むことすらしません。
では、「選択肢の提示」をしたらどうかと考えました。
つまり、上のテストに対して以下のようなヒントカードを渡して、
「選んで書き込む」形です。
「読める子」ですから、これだと全く問題なく選んで書き込んで回答できました(⌒▽⌒)
「いや、答え教えてるじゃん」と思われるかもしれません。
でも、ここでいう「漢字テスト」は受験などの選抜の場面での出題ではないんです。
日常的に漢字を定着させていく目的でするものであれば、
・全く取り組まない
より
・選んで確認しながら正しく書く
方が絶対に力になると思いました。
Cさんも「これならできる」と嬉々として取り組めました(⌒▽⌒)
そしてここから、「負荷の調整」をしていきます。
問題数=選択肢の数であれば、
「ここじゃなければこっち」がわかるわけで、
一番負荷が低い状態です。
読みは大得意のCさんにとっては簡単すぎます(⌒▽⌒)
そこで、まずは選択肢にノイズを入れていきました。
数が増えれば「正確に選ぶ」ことがさらに求められます。
形の似たものを混ぜることで、細部まで見て考えることも必要になります。
でもね、Cさんはここも楽勝でした。
どんなにノイズを増やしても、ひょいひょいと正しい字を選んで書くことができました。
そりゃそうですよね。
ノイズも含めて「全部読める」のであれば、そこから正解を選ぶのは簡単です。
次はいよいよ「形」のノイズです。
「かいぎはこの字」とわかった上で、消えている部分は想起していかなくてはなりません。
最初は本当に一部を消すことから始めて、少しずつノイズの部分を増やしていきました。
ここでやはりCさんは戸惑います。
ですから最初はヒントカード①も用意して③の下に引いておきます。
「どうだったっけなーって考えてわからない時は、下のカードを見て確認しよう」と声をかけておきます。
この「どうだったかなー」と考えてから
「あっこれこれ、そうだった」と確認するのって、
想起の練習をする時はとっても大事だと感じています。
元々「読める」Cさんの中には、漢字は全部入っています。
入っていないものなんて読めないですから。
ただ、
「そこに漢字というクリアな情報があれば、読み方が出てくる」
というのと、
「音の情報だけで頭の中にある漢字の情報をクリアに出してくる」
が、イコールにならなかったのでしょう。
彼女は、ぼんやりと漢字を浮かべていたのかもしれません。
でも、書くためにはそれを「クリアな情報」として想起しないといけない。
それが難しかったんだと思います。
選択という「クリアな情報を元に確認して書く」ことを繰り返し、
少しずつその情報らノイズを入れていくことで、
彼女の中の漢字の情報を「想起していく」体験を重ねることが大切ではないかと感じていました。
その後、彼女はヒントカードなしの漢字テストが成立するようになっていきます。
このケースについて詳しい経緯や私の声がけ、Cさんの反応などは、
この本の「書き③」のケースに詳しく載ってますので、
興味のある方は手に取ってみてください(⌒▽⌒)
ちなみに、こういう介入を提案すると、
「評価はどうするのか」とか「入試では使えないのに」とか言われることがあります。
他の子と比べての評価が必要だというのであれば、
「同じ方法では成立しない」という状況で「わかるでしょ」な気持ち。
あと、最初の方にも書いたけど、日々の漢字テストは、
「評価のため」ではなく、「漢字を定着させていく」ためにやっているのだと思います。
であれば、まずは「参加できる方法」「この子に取って意味があるやり方」を考えることは全く問題ないと思うんですよね。
「入試でもこれをさせてほしい」なんて言ってないし(^_^;)
でも、こうした「取り組める方法で繰り返す」中で、
Cさんのように手立てなしでも取り組めるようになっていくケースは、
きっとあると思うんですよねぇ。
まずは「今の学習に取り組める」がとっても大事。
学習機会を失うことは、何よりのリスクにつながることを、
夫のケースを見ていて、痛感しています。
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