糖尿病治療薬その1

こんにちは。
今日は糖尿病治療薬について勉強していきます。
その1ということでSU剤について勉強していきます。

糖尿病については割愛してさっそく薬について勉強していきます。

SU剤はスルホニル尿素(Sulfonylurea)剤の略称であり、膵β細胞にあるSU受容体と結合し、アデノシン三リン酸(ATP)感受性Kチャネルを閉鎖して、β細胞膜の脱分極を来たし、電位依存性Caチャネルより細胞外Caが流入してインスリン分泌を起こします。
つまり、内因性のインスリン分泌能がある人にしか効果がなく、2型糖尿病患者が対象となります。1型糖尿病や膵疾患に伴う糖尿病などではSU剤は無効となります。

画像1

上記の図はグルコース刺激による膵β細胞のインスリン分泌機構です。SU受容体が載っていませんでしたね(笑)

SU剤には世代があります。僕も普通に忘れていました。

第一世代:グリクロピラミド、アセトヘキサミド、クロルプロパミド
第二世代:グリクラジド(グリミクロン®)、グリベンクラミド(オイグルコン®、ダオニール®)
第三世代:グリメピリド(アマリール®)

はい、こんな感じです。第一世代とか薬剤師になってから見たことないです。教科書で見たことがあるくらいですよ。トルブタミドとかいう薬もあった気がしましたが、どうやら2015年くらいに販売中止になったらしいです。

今ので察したと思いますが、今回は第二世代以降について書きます。第一世代は知らないので無視します。

ここで問題です。それぞれの一日の最大投与量はわかりますか?

グリクラジドは160mg/day、グリベンクラミドは10mg/day、グリメピリドは6mg/dayです。
これは国試の時に「メロン弁当食らって胃瘻」みたいな語呂で覚えました。

それぞれの特徴は

グリクラジド:網膜症を防ぐ効果が高い
グリベンクラミド:作用が強力
グリメピリド:インスリン抵抗性の改善効果が高い

おっ、気づきましたか?
この特徴はFizz先生の「薬の比較、使い分け100」から丸写ししました。すいません。

この本に初めて出合ったのは5年生の薬局実習中に行われていた学会の書籍コーナーです。今でも愛用しております。

他の作用として、グリクラジドには血小板機能抑制作用や抗血栓作用があります。まあこの作用の結果、網膜症を防いでいると思うんですけど一応記載してみました。

あとSU受容体には3つのサブタイプがあり、3剤の受容体に対する親和性も異なってきますので余力があれば調べてみてください。

1年間薬剤師をしてきての感想としてはグリベンクラミドは他と比較して調剤することが少ない印象です。強すぎるが故に使いづらいのですかね。

ここからが本題です!!


今までの話は国試受けた人なら知ってると思います。
今回の熱盛ポイントは

SU剤とDPP-4阻害剤との併用について


です。

よく見かける併用ではありますが、この併用に関する注意喚起が日本糖尿病学会の適正使用委員会から出されているのを知っている人は新人薬剤師なら少ないのでは??

ビルダグリプチン(エクア®)を例に説明すると、添付文書の「重要な基本的注意」に以下のような記載があります。

スルホニルウレア剤またはインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。スルホニルウレア剤またはインスリン製剤による低血糖のリスクを軽減するために、これらの薬剤と併用する場合には、スルホニルウレア剤またはインスリン製剤の減量を検討すること。

まあ糖尿病薬の併用だし、まあ当たり前っしょと思うかもですが、以下の記載を見てください。

高齢者(65歳以上)、軽度腎機能低下者(Cr 1.0mg/dl以上)、あるいは両者が併存する場合、シタグリプチン・ビルダグリプチン・アログリプチン追加の際にSU薬の減量を必須とする。
グリメピリド:2mg/日以下
グリベンクラミド:1.25㎎/日以下
グリクラジド:40mg/日以下

日本糖尿病学会からRecommendationが出てるんですよ。学生時代は普通に知りませんでした。

ただ注意する点があります。これは必須と記載はありますが、上記の量を超える処方例もたくさんあります。もちろん初めての併用で上限を超えてくる、処方医が糖尿病を専門としない場合等は確認の意味も込めて問い合わせをするべきでしょう。しかし、上限を超えているからといって絶対に減量させる必要はありません。添付文書の上限を超えていたらダメですが、先述のRecommendationはRecommendationなので、上限を超えて服用しなければならない症例もあります。疑義照会をする際は言い回しに気を付けてくださいね!!

なおSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendationもあり、これも上述したDPP-4阻害剤の併用と同様の上限量への減量検討が推奨されています。

糖尿病薬というか生活習慣病薬全般に言えることですが、配合錠が非常に多いので、各薬剤の上限量には注意しましょう。配合錠に何がどれくらい含まれているか知りませんでしたはダメです。
今回の薬だとグリメピリドとピオグリタゾンが配合されたソニアス配合錠LD/HDがあります(LDはそれぞれ1mgと15mg、HDはそれぞれ3mgと30mg)。

オマケとして、アマリール®(グリメピリド)のみ9歳以上の小児に投与可能です。まあ実際のところは知りませんが、添付文書にはアマリールのみ小児等投与に対する記載があり、他のSU剤は安全性が確立されていない若しくは未記載となっています。

あと、SU剤は長期間服用での体重増加にも注意する必要があります。インスリン分泌を増やすので普段より糖質を細胞内に取り込みエネルギー過多となり体重が増加するんですかね。体重増加はインスリン抵抗性、血糖コントロール悪化につながるので、長期間服用している患者の体重変動にも注視しましょう。

おわり