マクロライド系薬
お久しぶりです。
最近は世の中が世の中なので休みの日は自宅に引きこもっております。
本日はマクロライド系抗菌薬について勉強していこうと思います。
マクロライド系抗菌薬は細菌のタンパク質合成を阻害することによって細菌の増殖を抑える薬です。同じ機序の抗菌薬としては、アミノグリコシド系抗菌薬やテトラサイクリン系抗菌薬などがあります。厳密には同じではないですが、タンパク質合成阻害という点では同じです。国試じゃないので細かくはやりません。
マクロライド系の薬を具体的に挙げると、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン、ジョサマイシン、スピラマイシン、フィダキソマイシンです。他にもあるかもしれませんが。
そしてマクロライドと言えば、特徴的な構造をしていますよね???
そうです!!輪っかがあるんです!!以下に構造式を載せます。
エリスロマイシン
アジスロマイシン
ジョサマイシン
フィダキソマイシン
となります。
皆さん、何が違うかわかりますか?
輪っかが違うんですよ。
14員環薬:エリスロマイシン、クラリスロマイシンロキシスロマイシン
15員環薬:アジスロマイシン
16員環薬:ジョサマイシン、スピラマイシン
18員環薬:フィダキソマイシン
と分類することができます。
たくさんの薬の名前が登場したので余談。抗菌薬にはアルファベットの略語があります。例えばエリスロマイシンならEM、クラリスロマイシンならCAM。僕は略語を全然覚えられないので今後も使いません。たまに略語ばかり使う人がいますが、文字数制限がある、そこそこ抗菌薬や感染症ができる人に話す場合でなければ略語は使わない方がいいと個人的に思ってます。だってカタカナならわかるのに略語だとわからないから話が頭に入らないので(笑)
話を戻します。今日はマクロライド系の何を勉強するかですが、相互作用を中心に勉強しましょう。
ちなみに先ほどたくさんの薬を挙げましたが、16員環と18員環はほぼ処方を見たことがないので14員環と15員環を中心の勉強します。どんな感染症に使うのかなどは感染症に詳しい人から教えてもらってください。
では、いきます。
マクロライド系抗菌薬は、マクロライド骨格に三級アミンを有するアミノ酸及び中性糖が並列または直列に結合した構造をしています。そして主員環とアミノ糖の三級アミン部位にはメチル基が存在し、CYP3A4によって脱メチル化されることが知られています。
14員環マクロライド系薬のCYP3A4阻害様式を図で示します。頑張りました!!
とても大変だったので当分は図は作りません。
CYP450のヘムと共有結合を形成することにより阻害します。共有結合なので投与中止後も阻害が持続する可能性が高いですね。
それに対して16員環マクロライド系薬はアミノ糖と中性糖が直列に配置しており、中性糖が立体障壁となることでアミノ糖とヘムの結合が邪魔をされるためCYP3A4を阻害しないと考えられます。
15員環マクロライド系薬のアジスロマイシンはアミノ糖と中性糖が並列に位置していますが、生体内でアジスロマイシンは未変化体のまま胆汁排泄されるのでCYP450酵素を阻害しづらいと考えられます。
アジスロマイシンはエリスロマイシンの14員環にメチル基の付いた窒素原子を導入したことにより塩基性が強くなったため代謝を受けにくくなったと考えられています。
18員環マクロライド系薬は新しい薬なので相互作用が起こらない理由はよくわかりませんが、まあアミノ糖がないのでそういうことですよね、きっと。
14員環マクロライド系薬による阻害は特異的なのでCYP3A4で代謝される全ての薬剤に注意したほうがいいと思います。
また、併用から4~10日後に相互作用の発現を認める場合が多いようですが、その理由としてはアゾール系などの直接的な阻害と異なり、一度代謝される必要があるため阻害まで時間を要すると考えられます。
マクロライド系はP-gpやMRP、OATP2などの基質でもあるのでトランスポーターを介する相互作用にも注意が必要です。
マクロライド系薬の中でも併用禁忌だったり併用注意だったりと添付文書では若干異なってきますが、抗HCV薬、エルゴタミン製剤、タダラフィル、コルヒチン、スボレキサント、トリアゾラム、シクロスポリン、タクロリムス、シンバスタチン、エプレレノンなどなど、挙げ始めたらキリがありませんがマクロライド系薬が処方されていたら注意しましょう。
マクロライド系薬の阻害率などを用いればいろいろと計算できますが、難しいので今回は割愛します。知りたかったら僕にDMでもなんでもいいので聞いてください。教えるかもしれないし、教えないかもしれません(笑)
薬局だとクラリスロマイシンとベルソムラの併用をよく見かけると聞いたりしますが、薬剤師なら是非止めたいものですね。
余談ですが、14員環マクロライド系薬は静菌作用以外の目的で処方されていることがあります。びまん性汎細気管支炎、難治性喘息、慢性副鼻腔炎などに対して少量長期投与します。まあ耐性菌発現のリスクなどもあるため少量長期投与って実際どうなの?と思いますが。また、モチリン様作用などもあり、消化管運動を刺激するために投与することもあるので覚えておいてください。No more 不要な疑義照会!!(笑)
今回は相互作用を中心に勉強しましたが、マクロライド系薬は他にも服用方法やタイミング、とある細菌によく効く、有名な副作用、など覚えることがまだまだあるので勉強してみてください。
おわり