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激動を生き抜く!これから地方公務員が考えるべきこと:花火大会の有料観覧席問題について

 私の地元である福井県敦賀市の花火大会は、残念ながら台風の影響により中止となりました。日本海側最大級の大会として、これまで臨時列車が走るほど多くの来訪があったのですが、新型コロナの影響によってしばらく開催できていませんでした。その間、CGを使ったオンライン大会とするなど興味深い試みもありましたが、ようやくリアルでの開催が復活! かと思いきや、天候には逆らえずお預けとなってしまいました。

 とはいえ、各地で花火大会が開催され、隅田川花火大会では100万人を超える来訪があり、翌日のワイドショーでは交通整理に奔走する警察官の方々や、規制ギリギリ(少し規制オーバー?)な状態で少しでも現場で花火大会を楽しもうとする人、自由に移動できずイライラする人など、当日の賑わいや混乱の様子が報じられました。板橋花火大会では、何と周辺の雑草に火が燃え移って大会が中止となる事態まで発生。これも、リアルならではと言えるかもしれません。

 そんな中で、最近話題となったのは、びわ湖花火大会における地元住民の反対要請でした。有料観覧席が多数用意され、主催者には収益が見込める一方で、無料のスペースでは十分に楽しめなかったり、高い間仕切りが設置されて見えにくくなったりと、大きな格差が生まれてしまったのです。これまで有料観覧席などなかった時代には、誰でも無料で楽しめた花火大会も、警備費用の高騰や人手不足、企業の協賛金減少などによって、開催が危ぶまれつつあります。そこで、自治体によっては中止にしたり、びわ湖花火大会のように有料観覧席を設けて収益を確保した上で続けたりと、さまざまな対応が取られています。

 テレビの報道を見ていると、びわ湖花火大会は住民の反対を押し切って自治体が開催した形で捉えられていたため「自治体と住民のコミュニケーション不足」が指摘されています。確かにそうした面はあるでしょう。住民側の「これまで通り気軽に楽しめる花火大会にしてほしい」「住民が楽しめない花火大会は中止もやむを得ない」という気持ち、自治体側の「有料観覧席を設けても花火大会を続けたい」という気持ちの両方とも、理解できます。だから、どこで折り合うか決まった答えはなく、自治体と住民の合意したことが正解となるでしょう。

 とはいえ、花火大会にかかる費用は高額です。私が楽しみにしていた敦賀市の花火大会でも、市の持ち出しは3000万円を超えていました。企業の協賛金が加わると、さらに膨らむことになります。これらの費用をどう賄うのかと言えば、花火大会の価値を上げて収益を得るしかありません。有料観覧席の価格を上げれば収益が高くなりますが、そのためには無料エリアとの差別化はどうしても必要です。海外アーティストのドーム公演でも、最前列の座席には10万円以上の価格で売り、リハーサル見学などもセットになっているのでで、即完売となります。それがあるから、他の席が安く済んでいることを考えれば、納得です(それでも安い席で15000円以上しますが・・・)。

 花火大会も、中止を望む住民は少ないはずです。しかも、有料観覧席は地域外の方が多いでしょうから、地域にお金を落としてくれる貴重なお客様です。決して、花火大会を邪魔しにくる人たちではありません(もちろん、マナーは守る必要がありますが・・・)。地域住民にとっては、混雑で困るかもしれませんが、「この地域がこんなに魅力的なのか」と、改めて誇りに思うきっかけにもなるはずです。日常的な混雑は観光公害となるかもしれませんが、花火大会は1日限りなので、我慢することはできるのではないでしょうか。

 有料観覧席は確かに無料エリアを見づらいものにしてしまいますが、中止にするよりはマシでしょう。しかも、今年はコロナ禍後でリアル花火大会の需要は爆上がりです。できるだけ収益を得ることも一案かと思います。自治体と住民のコミュニケーションは大切ですが、厳しい財政事情のなかで自治体や花火大会主催者が工夫をこらして収益を高めようとする努力は、花火大会開催への執念、さらには少しでも住民に満足してほしいという気持ちであることを前提として、コミュニケーションを深めてほしいと思います。

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