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夫が猟師になりました


茨城県で夫婦二人暮らしをしています。
夫がこの度、狩猟免許を取得し、猟師になったので、狩猟生活について書いていきたいと思います。


狩猟を目指すきっかけ

夫はもともと狩猟に興味があった。
昔から山好きで、登山を趣味にしていたので、狩猟に興味を抱くのは、自然な流れだったように思う。しかし、忙しい日々を過ごしていると、心の隅で描いた小さな夢を実現するには、やや腰が重かった。

そんな折、アベマTVの「世界の果てに、ひろゆきを置いてきた」という番組を見た。そこには、2ちゃんねる創設者の西村博之氏と不倫問題でテレビ業界から干されかけていた俳優東出昌大の二人が、アフリカを旅していた。その中で、狩猟免許を持つ東出さんが、生きた牛を買い解体するシーンがあった。日本人にとって、お肉はスーパーに並べられているので、生き物が屠殺されている現実は見ないで済んでいる。しかしながら、現実は命を頂いていることに違いはない。残酷だという人もいるけれど、アフリカでは屠殺も当たり前の日常であり、子供たちにとっても普通のことだった。その違いが非常に印象深い映像だった。

東出さんに興味を持った私たちは、彼が出ている狩猟の動画をひたすら見た。そして、狩猟への憧れがハッキリと強くなった。こうして、”芸能人がテレビで狩猟をしているのを見て”という、どうしようもない程ミーハーなきっかけで、狩猟免許を取ることになっていくのだが、夫に尋ねれば、東出さんは関係なく、あくまで強く思った程度であり、もともと願望として根底にあったとのこと。獣害が酷いからとか畜産に疑問があるとかではなく、狩猟を目指す大きな理由は「タダでジビエ食べたい」という単なる”食欲”なのだそうだ。

狩猟体験会へ行く

狩猟生活への憧れが強くなった頃、丁度インスタで「狩猟体験」の広告が流れてきた。私は夫に連絡をし、すぐに申し込みをした。

全国的に猟師は、高齢化が進む一方、獣害による被害が深刻化している為、茨城県でも自治体による若手育成が積極的に推進されていた。そのため、参加費はかからず、無料で体験会に参加することができた。

初回は、オンラインによる先輩ハンターとの座談会のような形で、リアルな狩猟生活の話を聞くことができた。会社員として働く傍ら、罠猟で狩猟している方もいて、現在の生活を維持しながら猟師になれることがわかり、俄然やる気が出た。その後、二回目の体験会は、豪華ジビエ料理付き+罠猟&銃猟の実践型で、抽選だったが二人とも参加することができた。

実践型体験会は、いかにも猪が出そうな田舎で開催され、猟友会のおじさんや若い女性猟師など、沢山の先輩ハンターが参加し、オンラインでは聞くことができない細かな話まで伺えた。実際、猪が出没するフィールドに足を運び、獣道や痕跡の見つけ方、道具の使い方など多岐に渡り学ことができた。ジビエ料理も無料でいいんですか?と思うほど美味しく、猪のベーコンや鹿肉のローストなど、フレンチ顔負けの料理だった。

こうして、体験会を通して未知だった狩猟の世界を垣間見れ、漠然とした不安が消え、猟師への道を突き進むことにした。

狩猟試験に挑む

試験前の勉強

体験会が終り、猟師を目指すべく試験について調べると、年内最後の試験が一か月後に開催される事がわかった。試験に合格すれば、年度内の猟期にも間に合うため、その日に向けて試験勉強を始めた。

狩猟は、主に「銃猟」と「罠猟」がある。
狩猟をするなら銃に憧れるが、正直ものすごく初期費用が掛かることや茨城県には熊がいない為、そこまで銃の必要性がないことから、罠猟の取得を目指すことにした。

当初、実は夫だけではなく、私も免許取得を考えていたが、お金がかかるので、とりあえず夫が取ることになった。”罠猟の免許は簡単だ”という声もあるが、試験の講習会を受け、テキストを受け取ってから試験までの期間は、2週間もない。そのため、勉強する期間は非常に短い。それくらい簡単だという人もいるけれど、実際にテキストを受け取ると、それなりに勉強するポイントが多い。

事前に、夫はネットで情報を集め、例題集を説いて勉強をしていた。
また、登山でロープワークの経験があったので、講習会に参加した頃には、恐らく受かるだろうと自信がついていたようだった。

試験当日

試験は、ほぼ1日がかりで行われる。午前は筆記、まずココで合格しなければ、午後の適正検査を受けることができない。

私は夫に弁当を渡し、受験を見送る母親のような気持ちになった。
肝心な時に、おっちょこちょいを出す夫に一抹の不安を抱いていたのだが、
心配とは裏腹に、会場で数人友達が出来たと連絡が来た。

地域おこし協力隊で、猪対策をしているAさん。そして、畑をアライグマに荒らされてるBさんと共に、試験の合間を利用して、近くの銃砲店に行って楽しんでいた。

試験の合否

試験結果は、当日中に出る。
無事に適正試験にも合格をした夫だが、会場ではトラブルも起きていたらしい。午前の試験が終わった後、受付を巡って大声を出した人がいたそうだ。当然、会場には嫌な空気が流れたものの、午後の時間になると、その人はいなかったそうだ。つまり、試験に落ちたのだ。もちろん、筆記試験の点数が悪かったとも考えられるが、適正でいえば、その時点で不可だったとも言えるだろう。

そんなこんなで猟師を本気で目指してから、実際に猟師デビューまでの道のりは早かった。夫は夢だった猟師になったのだ。





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