ロシアとウクライナのチキンレースで果たすべき日本の役割は「講和」に乗り出すことだ。

ウクライナを挟んでNATOとロシアの対決という状況に対して日本はどう出るべきか。

 日露戦争の際は、アメリカが仲裁に入って講和に持ち込めた。日本人はロシアに勝っていると思い込んでいた。賠償金が取れなかったことで日比谷焼き討ち事件が起きた。がほんとうは日本政府はどうにか講和が成り立ってホッとしたのが真相だった。

 太平洋戦争では、山本五十六などは最初の奇襲で優勢に持ち込み第三国による講和を期待した。総力戦研究所の模擬内閣も、そのうちジリ貧になるのに第三国のあてがないと指摘していたし、実際には山本五十六にもそのあてがなかったのだ。
 終戦間際になって近衛文麿などはソ連に講和を頼もうとしていたが敗戦濃厚の時期で完全に足下を見られていた。ソ連は中立条約を破って戦勝国となり、分け前をもらう魂胆だったのだから。

 ウクライナ問題こそ、まさに日本が講和の仲裁国として国際社会にその存在感を高めるチャンスだろう。日本はNATOでもないし、ロシアとは隣国だし、何よりもヨーロッパ諸国のような利害関係がない。アメリカのように黒幕とも違う。

 ロシアはウクライナに対して非武装中立を主張し、ウクライナはそれを拒否するよりないのだから、両者の交渉はまとまるわけがない。第三国としてもっともふさわしい国は、この場合、日本しかない。
 あるいはインドやイスラエルやスウェーデンなどと連合して仲裁国団をつくり、このチキンレースに解を提供する役割を進んで負う、そういう役割を国際社会で果たしてほしいと思う。日本の存在感は増すだろうし、何よりも泰平の眠りのなかにいる日本人自身が覚醒する。
 日本の戦争の歴史から学び、反省のうえでいまこそそれを生かすチャンスである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?