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19日目:「爪」とは自分を褒めるきっかけ(100日目に40歳になる猪瀬)

どんな人の爪の垢があったら煎じて飲みたいだろう。

いやこれはものの例えであるので本当に爪の垢が飲みたいわけではない。そういう趣味は持っていないので、言うまでもなくどんな人の力にあやかりたいかという話だ。

私の場合、関心が飛び散りすぎていてあやかりたい人が多すぎる。仕事、家族、介護、趣味、これらのことをすべて抱えているのが私なので、そもそも爪の垢を煎じるための器がたりない気がする。

あえて器が一つしかないと言われたらどうだろう。一つの力で解決できることは限られている。しばらく考えてみたところ、その場合は自分の爪の垢を煎じて飲むだろう。そしたら、いま以上に自信をブーストさせて突き進むことができたりしないだろうか(笑)。

ところで、実際に爪の垢ひとつで能力が身につく世界があったのだとしたら、その世界の経済や教育はどのように構築されるのだろう。

爪の垢の市場規模はどのくらいになるのか、売買方法は個人間取引になるのかシンジケートが押さえるのか、学ぶより飲めの環境で教育はより道徳に進むのか、爪の垢を買える世帯・買えない世帯で貧困の差は起こるのか……。

とここまで考えて、爪の垢を煎じて飲むとは近未来SFの世界観だったのかも知れないことに気づいてしまった。うわ、なにをするやめr。

① 「爪」 とは

爪を辞典で引こうとしたことは人生で初めてだ。まして辞典の意味にコメントをする日がくるとも思っていなかった。明日何があるかわからないとはほんとこのこと。どうせなら全力で楽しんでいこう!

つめ【爪】
・意味
 ① 人(動物)の指の背の先に生じる、角のように堅い物。
  表皮の変形したものとされる。
 ② 琴爪。また、それと同じ働きをし、弦楽器の演奏に用いられる
  爪の形をしたもの。義爪、義甲、ピックなど。
 ③ 物を引っ掛けて止める仕掛けの物。鉤や、足袋のこはぜなど。
 ④ 機械の先に付いた部品で、爪の形のもの。
 ⑤ 辞書などをひくときのアルファベットや五十音の目安として、
  小口に切込みを入れた(しるしを印刷した)もの。爪見出し。
  サムインデックス。
・かぞえ方
 ①は一本・一枚。②③は一枚。④は一本など。
出典 :『新明解国語辞典(第8版)』(2020)三省堂

含んでる意味が多いことに驚いた。そして「角のように堅い」という表現がとても上手い!

爪を例えようとするなら、伸びる性質を持ちながら堅いものがいい。そしてできるなら、爪は体の一部なので、例えるものも身体的な特徴を想起できるものがいいはずだ。なので「角」を思いついた人はとても喜んだのではないだろうか。本当におさまりのよい表現だと思う。

② 私の釈義

普段から爪にはお世話になっている。お気に入りの万年筆で日記を綴るとき、家族おそろいの箸で食事をするときなど、日常生活において爪の存在は欠かせない。爪がなければ指先で物を掴むことは難しいと言われているからだ。

にもかかわらず、自分の爪を見る機会はほとんどない。私はネイルをすることはないので爪の様子を伺うのはほぼ爪を切る時ぐらいである。

そんなわけで、あまり爪を意識していない私にはある現象が起こる。それは──

気づいたらいつも爪が伸びている!

この前切ったばかりなのにと何度呟いたかわからない。気づけはいつも白い部分が3〜4mmほど伸びていて、さながら笑顔でのぞく白い歯のようにキラキラとしながら、私に爪を切って欲しいと微笑んでくる。

そのくらいの爪の長さが背中をかくにはちょうどいいなどと、流暢なことは言ってはいられない。確かに少し伸びた爪でかいてもらう背中は至福のときだ。それは私も認める。だが注意すべきだ。そこまで育った爪はすぐにグレる。

少しでも忙しさを理由に放置しようものなら、途端にオラつきだして爪と指の間に砂や埃を巻き込みながら今度は黒くなって迫ってくる。清純派からとたんに路線変更して不良っぽく絡んでくるのだ。

だが爪は悪くない。私のためにいつも指先を守ってくれている。それに手間がかかる子ほど可愛いものだ。

そもそもの原因は私があまり爪を普段意識していないことにある。どうして意識していないかというとそれ以外のことの方が関心の優先度が高いからなのだ。だから、私はこう思うことにした。

頑張っていたから爪が伸びたことにも気づかなかった。

そう考えることで、爪を切る時間が怪我予防や衛生管理の時間ではありつつも、頑張った自分を褒める時間にも変わるのではないだろうか。

爪がいつの間にか伸びてしまう人ほどお勧めしたい。爪が伸びていた長さの分だけ自分が頑張っていた証である。

爪とは自分を褒めるきっかけ

■ 辞典は読み物!!


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