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20日目:「方言」とはふるさとスイッチ(100日目に40歳になる猪瀬)

書斎で本を読んでいるとリビングがやけに賑やかだった。なんだろうと覗きに行ってみると、テレビでは年に一度の漫才の祭典が繰り広げられていて、それを見ていた妻が珍しく大きな笑い声を上げててばたきをしているところだった。

さて、早速だがここで違和感を覚えた人は何人いるだろう。特になにも感じなかった人はきっと私と同じ栃木県の出身か近隣の県の出身のはずだ。同郷のよしみでこれからもどうぞよろしく!

なぜわかったのかというと、私が生まれながらにしてなんでも見通せるの超能力者でも、悪いコンピューターウイルスをこっそり仕掛けてみんなのログを夜な夜な追いかけているわけでもない。

実は「てばたき」は栃木の方言なのだ!!

実はといったのは、つい先日まで私が共通語だと信じていたからだ。信じていたどころか疑いすら持っていなかった。これまでの約40年の人生において、一度たりとも「てばたき」が方言だと思ったことなどない。

だからこそ真実を初めて知ったとき、私はごんきつねに登場する兵十のように悲しみにくれた。てばたき、おまえ方言だったのか……。

① 「方言」 とは

今回もいつもの辞典を引くべ!

ほうげん【方言】
・意味
地域的に見た、それぞれの言語(体系)の違い。〔狭義では、一地方に行われる単語・語法で、標準語(共通語)と違うのもを指す〕
出典 :『新明解国語辞典(第8版)』(2020)三省堂

わかる、痛いほどわかるぞ。そう言語の違いだ。でも、生まれて初めに聞いたものが当たり前だと思っているから、他の人も同じと信じてやまない。よもや、違いがあるなど想像もつかない。

こっそりと共通語のふりをして溶け込んでいるあたり、「メタルギア・ソリッド」に登場するソリッド・スネークも思わずうなりそうなステルス性能である。

② 私の釈義

てばたきの件は驚いたが、方言はその人の特徴なので私は大好きだ。

大阪弁や京都弁、博多弁といったようなメジャーなものでなくてももちろんいい。その人が生まれ育って過ごした時間が反映されているのだから、どんな言葉でも素敵である。

私の場合、残念ながら栃木生まれでも方言にそこまで染まらなかったので、半端な仕上がりとなってしまった。てばたきはむしろ例外的な出来事だ。出身地の方言を柔軟に言葉の引き出しから取り出せる人は羨ましい。

日常生活で方言を使って会話してとお願いされてもまったく言葉は思い浮かばない。今回のnoteの文章を全編とおして栃木弁で書いてみようかと一瞬思ったがよくわからなすぎてものの数分で挫折した。

なにが栃木弁なのかを言葉では認識していない。だから意図的にできることと言えばとってつけたように語尾にべを付けることだけだった。

方言とはふるさとスイッチ

ただ、不思議なことに地元に帰省して両親と話をするとこんな私でも自然と訛る。

結婚前、妻を連れて実家の両親に初めて紹介しに帰省したとき、妻からそんな喋り方をするのは初めて聞いたと言われた。語尾がだべだべしててまるで別人のようだったらしい。

無意識のうちにそうなっていたので、きっと同郷の人と会話をすると相手の会話に刺激されて忘れていた何かが活性化して栃木弁が溢れてくるのだろう。

とはいえ私の栃木弁は半端なのでせいぜいその程度に語尾が変化するだけ、なんとも心もとない。どこかに栃木弁は落ちていないものか。栃木弁だと一言でわかるキラー方言が欲しい。

とはいえ、田舎でしか聞かない自分の言葉を耳にするとふるさとに帰ってきたことを実感する。それがたとえだべだべ語尾だったとしても。

■ 辞典は読み物!!


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