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11日目:「はみがき」とは歯間磨き(100日目に40歳になる猪瀬)

我が子よ、聞こえますか……聞こえますか……いま私は5年後のあなたの心の中に直接話しかけています……はみがきはしていますか……面倒くさがらずに自分で磨いていますか……自分で磨けるようになったら今度はデンタルフロスにチャレンジしましょう……いいですかブラッシングの後はデンタルフロスですよ……

突然どうしたのかと思うかも知れないが、実際どうかしたい気持ちでいっぱいである。落ち着いた気持ちでは到底いられないので、こうして使い古されたネタの一つを冒頭に仕込んでいたりするのだ。

最近になって私は重度の歯周病になっていたことが判明した。一昨年あたりから、3ヶ月に1度は歯科に出向き定期的にクリーニングしてもらっていたというのになんということだ……。

この30代の10年間で、泣きたくなるぐらい悔しいできごとが何度かあったが、よもや40代突入を間近に控えてまたひとつ悔やむことになるとは予想もしていなかった。

そして明日、治療のために手術をすることになった。手術をする不安と長期の治療にかかる費用の工面、家族に今後かけるであろう負担への申し訳なさで、いま私の中ではいろんな感情がグルグルと巡っている。

だが、同情はいらぬ!媚びぬ!省みぬ!!すべては自己責任だ。もし気にかけてしてくれる天使のように心優しい人がいるのなら、明日もまた記事を読みに遊びに来て欲しい。

そんなわけで、少しばかりテンションがいつもと違うのはそんな理由からなのだが、父はいま猛烈に反省している……。そして同じ想いをさせたくない、その一心で今回は言葉を綴る。

① 「はみがき」 とは

そろそろお馴染みになっている人もいるかも知れないこのくだり。例の辞典「新明解国語辞典」で「はみがき」を引く。あと89回は繰り返すのではじめての人も今日は慣れて帰って欲しい。

はみがき【歯磨】
・意味
 ①歯を磨くこと(もの)。
 ②歯を磨くのに使う粉・クリームなど。
・かぞえ方
 ②の歯磨粉は一袋・一缶。練り歯磨は一本
出典 :『新明解国語辞典(第8版)』(2020)三省堂

「はみがき」を漢字にすると「歯磨」になるんだな。いまの私のパソコンの漢字変換だと「歯磨き」になるので送り仮名の違いはなんだろう。

意味の一番目はそのままだ。二番目の歯を磨くために必要な粉などが歯磨に含まれているというのは、わかるような、わからないような。すぐには状況が浮かばなかった。

「歯磨とって」

と誰かにお願いされたら、渡してもらいたがっているのは歯ブラシかもしれないし歯磨粉かもしれない。もしかすると、どちらも求められている可能性すらあるということだろうか。

早速、今夜にでもこのセリフで妻に実験してみよう。一体なにが渡されるのか興味津々だ。自分でとって!と言われたらもう泣くしかない。


② 私の釈義

はみがきとは歯間磨き

なんとなく「歯磨」という言葉は口の中の健康を保つのには少し説明が足りてない気がしていた。

虫歯や歯周病の予防のためには、歯の表面だけではなく、歯と歯や歯と歯ぐきの間も磨く必要がある。隙間を攻める必要があるのだ!このことは、昨今のデンタル業界がCMでも啓蒙していることなので周知の事実だろう。

だが「歯磨」という文字は、どうも磨くのは歯の本体に意識が向かせている気がしてならない。だから隙間を掃除するという意識が醸成されにくいのではないだろうか。もしいまの言葉の力で行動を促すことがなかなか難しいのだとしたら、日本の未来のために、それこそ「歯間磨き」なんて言葉を今からはやらせるのもありなのかもしれない。

また、そんな大それたことをしなくても、今すぐできることがあるのだとしたら、子どものころから隙間も意識したブラッシングの習慣を身につけることではないだろうか。子どもが歯磨の仕方を学べる機会が多いのは幼稚園や小学生の頃だ。食後、家族と一緒に歯を磨くときなど最高の舞台だ。

中学生、高校生になったころには親の言うことなど聞く耳を持たないだろうし、社会人になってから人に歯磨の仕方を教わるというのは、よほどできた恋人に出逢うか、虫歯になって歯科に通い始めてからくらいしかないだろう。やはり早いうちがいいのだ。

そんなわけで先月くらいから、食後になると楽しそうに洗面台に向かい、鏡を見ながらまるで牛乳でも一気に飲み干すかのように手を腰に当てて、鼻歌交じりに陽気に歯を磨くという、ゴキゲンな父が突如爆誕したのだが、君は気づいていたかな?

君は何事かとやってきて、真似っ子しながら自ら歯を磨いてくれるのでとても嬉しい。角度はこんな感じだなとか、このあたりが磨きにくいぞとか、ときどき隣で説明してるが、あれはそこまで気にしなくていい。なにはともあれまずは楽しのが一番なのだ。5年後の君の虫歯具合が私の通知表である。

さて、落ち込んだりもしたけれど父は元気だ。

現実とはとても不思議なもので、なんの因果か数日前の記事で少し紹介したボツリヌストキシンをなんとこの前、顎に注射することになった。ボツリヌス菌そのものを取り込むわけではないから危険性はないので安心してくれ。

歯周病の治療をした箇所が歯ぎしりなどでぐらついたりするのを極力避けるため、咬筋の力を一時的に弱めるらしい。半年もすれば元に戻ると聞いたが、なんとその間は顎が細くほっそりして見えるという。

つまりこれは、ダイエットし終えた未来の自分に出会うチャンスなのではなかろうか!?

そう思って写真は撮っておいたので、効果がでてきたころにビフォア・アフターで比較したい。転んだらただでは起きない男、それが猪瀬だ。

■ 辞典は読み物!!


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