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【三重県、差別解消条例を初適用し実施した説示(2024年2月)について考える】1. はじめに

 三重県は、「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」(三重県差別解消条例)に基づく申立て事案について、2024年2月29日「説示」を実施したことを発表した。

 県の発表がいつであったかは不明であるが、3月4日三重県議会において、稲森稔尚議員が、公表された2月29日の説示事案について質問。同日夜、三重県差別解消条例の初めての適用として、マスコミ各社が報じた。

 三重県差別解消条例では、第17条で、「助言、説示若しくはあっせん又は勧告を行った場合 において、申立人、相手方その他の関係人の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表する」としている。

 県が公開した文書は、以下の「2023(令和5)年度 助言、説示及びあっせん並びに勧告の状況」のリンク(PDF)で閲覧できる。(公開されている文書には、表題、日付、作成者等の基本情報は付されていない。)

三重県|2023(令和5)年度 助言、説示及びあっせん並びに勧告の状況

「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」の第17条に基づき実施された「説示」(令和6年2月29日)とは、どのようなものであったのか、以下の6点から考えていきたい。

①県条例と差別解消調整委員会および「説示」の性格
②公開されている情報から分かる経緯
③「説示」の対象者が、「三重県内に勤務する教育公務員」であったことのもたらす影響
④教育長の議会答弁はどのように実施できるのか
⑤マスコミは、どのように報道したか
⑥条例による説示は、誰を救済することができたのか

 参考にしたのは、公開されている以下の資料(三重県HP、三重県議会HP、報道各社HP)である。三重県のHPでは関連する情報の掲載ページが分散されているので、以下に整理しておく。


三重県HP(20240324閲覧)


三重県|差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例が制定されました

差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例(リーフレット)(pdf:647kb)
差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例(概要)(pdf:543kb)
差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例(本文)(pdf:321kb)
差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例(逐条解説)(pdf:992kb)
条例第13条にかかる申立てのながれ(pdf:631kb)
第1号様式(申立書)(pdf:83kb)  

●附属機関等会議概要 
  三重県:三重県差別解消調整委員会
   会議の開催案内・会議結果にリンク
     令和5年度第2回三重県差別解消調整委員会を開催します
       (令和6年1月30日)
     令和5年度第2回三重県差別解消調整委員会の開催結果
       (令和6年2月7日)

  委員名簿

三重県|2023(令和5)年度 助言、説示及びあっせん並びに勧告の状況

実施日「令和6年2月29日」、実施内容「説示」、事案名「不動産売買に係る土地差別事案(PDF)」


三重県議会(20240324閲覧)

三重県議会 中継 令和6年定例会(3月4日)関連質問 稲森 稔尚 議員(草の根運動いが)


3月4日各社報道


差別解消条例を公立校教員に初適用 被差別部落理由に土地の契約解除
朝日新聞 20時27分

●三重県、差別解消条例を初適用 公立学校教員に「説示」
共同 21:03

三重県 差別をやめるよう促す「説示」 条例を初適用
NHK 21時26分  

被差別部落理由に教員が不動産購入解除 三重県、差別解消条例を初適用、処分を検討
中日新聞 21時39分 (3月5日 01時14分更新)

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