ヤプリ

企業分析2回目です。
今回は、ヤプリ株式会社について分析しました。

ヤプリの概要


株式会社ヤプリは、アプリの開発技術がなくてもノーコード(プログラミング不要)でアプリを開発できるクラウド型のアプリ運営プラットフォーム「Yappli」(以下ヤプリ)の企画、開発、運営を行っています。
最近の業績で言えば、ヤプリを使って提供されたアプリのダウンロード数が1億を突破、売り上げの成長も2021年は対前年比36.5%となっています。
分析にあたっては、2021年度のヤプリ株式会社の有価証券報告書、および2021年度四半期の決算説明会資料を参考にしました。

ヤプリの財務的特徴


ヤプリの財務的特徴は以下です。
①固定資産の割合が低い
資産全体に対する固定資産割合が17.65%となっており、割合が低くなっています。

②営業利益が赤字である
営業損益が△928,548(千円)となっており、本業でまだ利益をあげることはできていないようです。

③販管費に対する広告宣伝費の割合が大きい
販管費全体に占める広告宣伝費の割合が35.7%と高くなっています。

④キャッシュフローは財務CFのみプラス
営業CFがマイナス、投資CFもマイナス、財務CFはプラスであり、本業でのマイナスを借り入れなどでまかなっている状態です。

財務的特徴の理由


以下で先にあげた4つの財務的特徴の原因をビジネスモデルの観点から分析しました。

・クラウド型のサービスである
ヤプリはクラウド型でサービス提供を行っているため、商品の在庫や設備に関する費用を多く必要としない。そのため、固定資産の割合は少なくなります。これは以前のBASEと同様です。

・先行投資を長期的に回収するサブスクリプションビジネスである
ヤプリの収益構造はクライアントからの初期費用と月額利用料であり、売り上げの約8割は月額利用料、いわゆるサブスクリプションです。
またこの月額利用料は、ヤプリの提供価値である「多額なコストをかけずに効率的なアプリの開発・運営ができる」を実現するため、安価に設定されています。
そのため、ヤプリは多くのユーザーに長期的に利用してもらうことで、損益分岐点を超えるような財務設計になっています。
そのように考えると、財務的特徴の②③④は、サブスクリプションビジネスとしての先行投資を行っている状態を反映していると述べることができます。
実際ヤプリは決算説明会にて、現在は損益分岐点を超えておらず、人材や広告などに積極的な投資を行い、ユーザー増加やサービス改善を行っている段階であると述べています。

まとめ・感想


以上の分析をまとめると、ヤプリは、クラウド型のサブスクリプションビジネスとして成長途上の財務状態を反映していると述べることができるでしょう。
分析を行って、以前分析したBASEとの異同を感じました。
顧客に対して特定のものを開発・運営するツールを提供し、それに対して対価を得るSaaSビジネスであることは2つの間で共通していました。
しかし顧客規模がまったく異なる点(BASEの顧客は個人なのに対して、ヤプリは大企業)や、収益モデルも異なっていたので、それぞれのコンテキストに応じてビジネスモデルの各要素を変化させる必要があると感じました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?