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『超大国日本の挑戦』シナリオ・ライティング法の思考として付録が参考になる(環境研究、未来予測)

 1970年にアメリカ、ヨーロッパ数カ国、日本で同時に発売されたハーマン・カーンの日本を予測した本。意図がどこかにあったにせよ、カーンは「21世紀は日本の世紀だ」と予測し、日本人の自尊心と優越感をくすぶった。経済的な側面だけでなく、超軍事大国になるように努力するだろうとも予測し、この本ではその論拠を明らかにしている。

 カーンは、日本人が戦前の価値観に回帰することは間違いないとし、修正主義者たちの第二次大戦についての理論活動が到来にかけて幅をきかせる。京都産業大が設立された主目的も、日本古来の価値を高める一方、必要に応じて、新しい「責任のある価値」を取り入れていくことにあったとしている。(だから、顧問になったのだろう)

 「21世紀は日本の世紀だ」という予測が、日本人の自尊心と優越感をくすぶったように、日本人は絶えず自分の地位の序列を意識し、機会あるたびに「自分はどのへんの地位にいるのだろうか。どのへんの地位にいるべきだろうか。地位を引き上げるにはどうしたらよいだろうか」と自問する性格だと断言している。その他、日本人の集団意識などの特性が紹介される中、以下の記述には笑ってしまった。

「日本人の最も完成された技能として、彼らはどんな姿勢ででも、またわれわれにはとても眠れそうにない状況のもとにおいても、楽々とよく眠る。このことは多くの西洋の日本研究家を驚かせた事柄である。」

「日本人は、自分たち自身のことを、人種差別主義者だとは考えていない。フランスや中国の場合、混血児が完全に土着文化になじんでくると、彼は社会から十分に受け入れられる。このことは、しかし、日本にはあてはまらない。混血児はほぼ一生を通じて、完全に社会に参加することをはばまれる。このような社会からの締め出しは、日本生まれの朝鮮人や中国人に対しても行われる。この問題で決定的に重要な点は、日本人は通常、これらの少数民族に対する差別を行っていることに気がついていない点にある。差別があまりにも完璧なので、ふだんそれにまつわる問題が起こらないからである。」

 For the building of a new Japan,
 Let's put our strength mind together,
 Doing our best to promote production,
 Sending our goods to the people of the world,
 Endlessly and continuously,
 Like a water gushing from a fountain,
 Grow, industry,grow,grow,grow!
 Harmony and sincerity!

 という社歌を欧米人に披露すると、この歌を聞いて、文字どおりびっくり仰天する人が多いからである。彼らにしてみると、こんな愚にもつかないものをまじめに歌う人がいるなどということは、思いも及ばないのである。」

 日本経済の4つのシナリオとして、「低い展望」「公式の展望」「中位の展望」「高い展望」とGDPを「1971−1975」「1976−1980」「1981−1985」「1986−2000」の年代区分で予測している。1985年には日本のひとりあたまGDPがアメリカ抜いているが、その後のバブル崩壊を予測できていないのがカーンのシナリオだ。しかし、以下のシナリオ・ライティング法の基本となった付録の資料は再現性があり参考になる。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。