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『セグリゲーションのすすめ』海外が絡んだ事例がないのが残念(失敗研究)

 エスニック・セグリゲーションに関する本を調べているうちに見つけた本だが、ここにあるセグリゲーションは、公認会計士の用語で、従業員不正を防止するために、不正の行われやす業務について、必ず誰かのチェックが入る仕組みを作り、業務の分散を図ることだ。不正の実例とそれを防止する仕組みの数々がまとめてあるので、資金横領のリスクマネジメントとも言える。

 私の経験だが、PCのソフト開発を個々のPCで行う時代で、ソフトウェアがコンパイル形式でないインタプリタ形式の場合、納品されたソフトはユーザーに知識があれば修正することも可能だし、エンジニアが自分で客先で修正することも可能だ。例えばソフト修正代が少し出力位置を直すだけでも、テストなどを含め数十万円になってしまうので、ユーザーが直接エンジニアに金額を支払い安く済ましていたことがあった。なぜ発覚したかというと、ユーザーへの税務調査で支払い先の個人が怪しいということになり、その個人が所属するこちらにも税務調査が入ったのだ。数年に1回の定期的な税務調査が1年前にもあり、特に不動産など購入していなかったので不思議だったが、結局従業員のひとりがユーザーと直接取り引きをしていたことが発覚した。
 本書のやり方を参考にすると、ひとりでエンジニアを客先に行かせないようにするぐらいの解決策しか見当たらないが、どんなに些細ないことでも客先で修正できない仕組みやチーム開発などを前提にするしかないのだろう。

 また、中国で中国のカントリーマネージャーの兄弟などにも給与が支払われていたことが分からず、買収のときのデュー・デリジェンスで発覚したケースなどもあった。その国から資金を回外に流しにくい国の場合、資金を闇から闇に流し、自分に還流させることもそう難しくない。特に日本の銀行は、そこにある資金を海外から送金できない、あるいは、送金ワークフローに海外の本社を含めれるような設定ができないので、不正を起こしやすい。

 キーとなる職務を細かく分けて、それを異なる従業員にそれぞれ振り分ける必要性がありそうだ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。