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『十二人の怒れる男』 最初のひとりの同調者がキーポイント(ペアシステム)

 なんと素晴らしい脚本だ。たったひとつの部屋と、12人の出演者がいれば、これだけの映画ができるんだと、感心してしまった。もちろん、陪審員が全員白人の男性だという時代背景があったとしても、永遠に観られ続ける不易流行な映画なのだろう。

 12人の陪審員のうち11名が有罪としていた殺人事件が、建築家の一人が主張する無罪に徐々に傾いていく。そのプロセスは、以下だ。

1)第一回投票 1名無罪、11名有罪
2)第二回投票 2名無罪、10名有罪(たった一人の賛同者の存在が重要)
3)第三回答票 6名無罪、6名有罪
4)第四回答票 9名無罪、3名有罪
5)第五回投票 11名無罪、1名有罪
6)第六回投票 12名無罪

 システム工学では、ひとりで仕事をするのはなく、「ペアシステム」で仕事をするという原則があるが、その理由は、上記のプロセスにある 2)の段階から仕事がはじめられるからだ。つまり、1)から 2)へのフェーズは時間がかかるが、3)から 6)に至るスピードは徐々に短くなる。

 このことは、システム工学の未来予測の手法のひとつであるデルファイ法で、数人にアンケートを送り、その集計結果を再配布することを、数回繰り返すことで、ひとつに収斂することからも分かる。

 この映画にいくらのお金がかかったのかは分からないが、映画というコンテンツビジネスは、脚本が面白ければ、世界中に市場創造が可能になる。最近は、漫画コンテンツもグローバルで市場創造がされているので、「創造性」を開拓することは、天井知らずの市場を対象にすることができるということだ。

 たったひとつの部屋の中の人間のやりとりだけで、こんなに面白いコンテンツが作れるんだ、ということを教えてくれる貴重な映画だ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。