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『国連の政治力学 日本はどこにいるのか』アメリカ一辺倒にならない歯止めとしての国連中心主義では手段と目的が逆転(環境研究)

 JICAの理事長である北岡伸一氏が国連代表部次席代表時代の経験をまとめたもの。第2次大戦の戦勝国が常任理事国として君臨した国連という組織で、日本が国連をどうしたのか、という問題意識に対する答えを求めて読んでみたが、そこは空白だった。北岡伸一さんと言えば、安倍政権での集団的自衛権の閣議決定案を作った人で、日本政府の政策に関与する学者のひとりだ。

 国連を外交手段としてもっともよく使いこなしているのは、安保理で拒否権を持ち、これを最大限利用して外交を展開してきたのがロシアで、自国に都合の良いときには国連を利用し、国連が都合が悪くなればウクライナ侵攻のように無視する。国連重視という意識もないアメリカなど、国連の常任理事国が中国、フランス、ロシア、英国、米国なので、これらの国々は国連を利用するだけの存在と考えていてもおかしくない。

 現在の日本の政治には、国内政策として「新しい資本主義」「デジタル田園都市構想」などがあるが、グローバルな戦略はない。グローバルな戦略があれば、そのために国連をどう活かすか、という発想になるが、アメリカ一辺倒にならない歯止めとしての国連中心主義では手段と目的が逆転してしまっている。これでは日本が常任理事国になったとしても意味がない。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。