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『僕らはみんな生きている』リスクを嫌う若者が増えたためか、海外赴任者の候補はどんどん減っている(環境研究)

 バングラデッシュの南にあるという架空の国タルキスタン共和国に進出する日本企業の海外赴任者と出張者を描いた1993年の日本映画。橋を架けるプロジェクトの入札発表が行われる2日前にクーデターが起き、それに巻き込まれてしまうというストーリーだが、海外赴任者の状況をよく表していて面白い。

 例えば、海外赴任社は日本からの出張者がくると、お世話をしなければならないが、経営層の人の場合は、運転手から観光案内、美味しい店の紹介など、まるで旅行代理店の添乗員のような役割を果たすのが仕事になる。この映画ではサブジェクトマターエキスパート、つまり橋の設計が分かる専門家が出張者だったが、やはりお世話が必要になる。

 仮想のタルキスタン共和国では突然の軍事クーデターが起きたが、実際に昨年ならミヤンマー、今年ならウクライナやロシアでも同じようなクーデターや戦争が起きている。ウクライナには日本人は少ないだろうが、ロシアには多くの海外赴任者がいる。この戦争でどのこような常態になっているのかは分からないが、不安な日々を送っていると想像できる。

 リスクを嫌う若者が増えたためか、海外赴任者の候補はどんどん減り、この映画にあるように赴任期間が延びたり、再赴任となっている。サラリーマンの中でも海外赴任社は本社に戻り成功する人もいるのだろうが、そうでない人も多くいる。主人公の父親が日立製作所に勤めていて、毎年年賀状が300通来ていたのに、定年したら7通になり、元旦に郵便受けで30分待っていたという逸話を紹介していたが、いずれにしても、会社に従属したサラリーマンは大変だ。

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