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『シナリオ・プランニング 未来を描き、創造する』本書で紹介しているシナリオ・プランニングは、「適応型シナリオ・プランニング」で、「変容型シナリオ・プランニング」ではない(環境研究、未来予測)

 変形サイズの変わった本だが、内容的にはシナリオ・プランニングを「バックキャスティング」ではなく、「フォアキャスティング」で捉えているようだ。
 本書ではシナリオ・プランニングのプロセスを以下の10としている。

1)課題を設定する
2)情報を収集する
3)未来を動かす「ドライビング・フォース(原動力)」を特定する
4)未来を左右する「分かれ道」になるような要因を見つける
5)シナリオを考える
6)骨組みに肉付けし、ストーリーを描く
7)シナリオを検証し、追加の調査項目を特定する
8)シナリオの意味をくみ取り、取りうる対応を決める
9)目印を探す
10)シナリオを観察し、更新する

 シナリオ・プランニングは9人から10名、最大30名程度のチームで行う。参加者は周囲に尊敬されていなければならない。口を開く前に何を言うか分かりきった人を選んではならない。同調するだけの人も不要だ。

 ドライビング・フォースはSTEEP分析、社会(Sciety)、技術(Technological)、経済(Economic)、生態系(Ecological)、政治(Politial)は変化要因だけでなく、以下の10のカテゴリーに分類している。通常のワークショップでは100項目程度のドライビング・フォースが挙がるという。そしてそれは、多ければ多いほどよい。

1)社会(Sciety)
2)技術(Technological)
3)経済(Economic)
4)ビジネス手法(Business Method)
5)天然資源(Natural Resources)
6)政治(Politial)
7)人口動態(Demografic)
8)国際(International)
9)法律(Legal)
10)環境(Environment)

 ブラック・スワンもシナリオ作成上の重要な要因だ。歴史上の大きなそれが、第一次大戦などの戦争、2001年9月11日、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻、2010年のメキシコ湾原油流出事故、2011年の東日本大震災、そして2020年のコロナなど。

 最後に、シナリオ・プランニングを行ったとしても、オスロとウトヤ島でのテロリズムを防げなかったかも知れないが、もし政治家、警察官、その他の安全保障に責任のある政府機関が、起こりうるテロのシナリオを描いていたとしたら、少なくとも警備はより厳しく、警察は準備を整え、素早く行動できたとしている。つまり、本書で紹介しているシナリオ・プランニングは、「適応型シナリオ・プランニング」(未来を理解するためのプランニング)で、「変容型シナリオ・プランニング」(未来に影響を及ぼすためのプランニング)ではない。犯罪が多発するコミュニティーに住むには、「適応型シナリオ・プランニング」ではリスクマネジメントとして、鍵や警報や警備員の採用になるが、「変容型シナリオ・プランニング」では人々と協力して犯罪レベルを下げる努力をすることになる。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。