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『ハドソン川の奇跡』 バードストライク防止システムの開発が必要だ(失敗研究)

 バードストライクによって、両エンジンが破壊され、ハドソン側に不時着せざるを得なくなった機長の判断を描いた映画。全員が無事だったことが奇跡的な喜ばしいことだが、米国の事故調査は人間の判断に誤りがないかを徹底的に追求する。私が飛行機に乗るときに毎回気になることは以下の3つだ。

1)エアバスはオートマチック過ぎる

 フランスのエアバスは自動化を売りにしているためか、例えば飛行機内の温度調整が完全自動だ。ボーイングはマニュアル部分をわざと残した設計になっているので、温度調整も行いやすい。

2)PATRAN/NASTRANは正解をチェックできない

 飛行機は空気で浮上するので、3DCADで設計したモデルデータをPATRANに取り込みメッシュで切って、材料特性と接点情報などを定義し、それをNASTRANなどの有限要素法ソフトウェアに連携させ、流体力学に準拠した解析シュミレーションを行う。20代のころにその技術者に、この複雑なマトリックスの行列式からのアウトプットをどうやって検証するのか尋ねたところ、飛行機が飛んでいるから間違いないという答えが返ってきた。確かに手作業でチェックはできないので、小さなモジュール単位の検証を積み重ねた結果、アウトプットは正しいということなのだろうが、それには不安が残る。

3)イスラエルではアメリカの飛行機を信用していない

 イスラエルは政治的な理由で戦闘機はアメリカ製だが、アメリカで組み立てられた電子部品は検査ソフトでチェックし、自前で設計した部品に取り替える。最近はブラックボック化されているのでどこまで行っているかは不明だが、ドンガラ以外は信用していない。それが証拠にテルアビブ空港に着陸すると、イスラエル人は一斉拍手で着陸を大喜びする。つまり、無事着陸したことを称えているのだ。

 この映画での事故原因はバードストライクだが、ジェットエンジンを使った飛行機でこれを防ぐ方法はないのだろうか。この映画のような適切な機長の判断とハドソン川のように広い川がない場合、対策システム(鳥検知機器の調査・導入など)をビルトインするしか解決方法はないだろう。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。